敵地で浦和に3-1快勝、就任14試合で勝ち点27を上積みし残留決定的

 ガンバ大阪は3日に行われたJ1リーグ第31節の敵地浦和レッズ戦に3-1で勝利し、勝ち点を42に伸ばしてJ1残留をほぼ確実なものにした。チームの立て直しに成功してリーグ7連勝とした宮本恒靖監督は、「本来の自分たちが持つ力をピッチで発揮すれば、好転するのは間違いない」と選手に自信を与えてきた。

 この浦和戦も、前半は苦しい展開を強いられた。全体的にボールを保持され、前線に入れたボールも相手の3バックを相手にFW陣がキープできなかった。そのなかでMF小野瀬康介の強烈なミドルシュートで1点を先制して折り返すと、ハーフタイムに宮本監督が修正を施す。

「前半は距離感が遠かった。ボールを奪った後に簡単に失う、サイドに持っていった後のFWや中盤の顔を出す位置のバランスが悪かった。後半は倉田がポジションを中央に移すことでサイドを空けること。アデミウソンと(ファン・)ウィジョの位置を変えたこともありましたけど、押し込んだ分で遠藤や今野が前を向くことができた」

 後半4分に同点ゴールを許したものの、その修正はピッチ全体での形成を五分以上に戻すことへつながり、FWファン・ウィジョとFWアデミウソンの2トップが1点ずつを奪って試合を決めた。特にリードを奪ってからは、浦和のプレスに対してボールを安定してキープし、危険なショートカウンターを受ける場面を作らせなかった。

 レヴィー・クルピ監督の退任を受けて宮本監督が就任したのは7月23日で、リーグ戦は折り返しの第17節を終えた段階だった。その時点でG大阪は勝ち点15の16位と、J1残留が最大のミッションとなった。そこから浦和戦までの14試合で積み上げた勝ち点は27と、まさにチームを「復活」させた。


来季も見据えて「もちろん、残りの3試合も全て勝つつもり」

 その要因として挙げられるのは、宮本監督がG大阪のチームカラーをよく知る人物だということだ。OBとして現役時代にタイトルを何度も獲得した経験を持ち、指導者としてもU-23チームを率いてからの内部昇格だったため、個々の選手の特徴をよく知るという強みが存分に生かされたのは間違いない。

「選手に最初のミーティングで言ったのは、本来の自分たちが持つ力をピッチで発揮すれば、好転するのは間違いないということ。そのためにはフィジカルコンディションを上げること、プレーの質の面で話せば細かいですが、攻撃におけるボールを動かすポジションなどの改善、守備の約束事やコンパクトにすることを改善するためのトレーニングを積むこと。みんなの意識が変わって、本来の自分たちはこうだったと思い出しながらやれている。それは今日の試合でも、たくさんあったと思っている」

 ルヴァン杯や天皇杯も含め、一昨季までG大阪はタイトル争いに絡んできた実績がある。対戦した浦和のオズワルド・オリヴェイラ監督も「選手の個々を見ても非常にクオリティーの高いチームだ」と表現していたように、そのメンバーが持つ力は決して低くない。後は、それをどう発揮させられるかという部分であり、OBとして結果を残してきた黄金期を知り、クラブに長年関わり続けてきた指揮官に交代したことは、本来持っている力を引き出すという点でプラスに働いた。

 前節終了時点で、浦和の目標は3位に浮上しての来季AFCチャンピオンズリーグ出場権獲得であり、G大阪は残留争いから抜け出すというものだった。しかし、試合が終わってみれば浦和との勝ち点差はわずかに「3」。それだけ今季のリーグ戦が混戦であるということと同時に、戦力が拮抗したなかで残したG大阪の7連勝が、価値あるものだということを示していると言えるだろう。

 宮本監督は残留をほぼ手中にしたなかでも、「もちろん、残りの3試合も全て勝つつもり」と言い切った。来季以降に向けてチームを成長させていくこともテーマになるシーズン最終盤で、G大阪はどこまでこの勢いを維持できるだろうか。


(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

ガンバ大阪の宮本監督【写真:Getty Images】