そのような理由から、食事を減らして我慢させる食事指導よりも、食べる食品を「置き換える」指導のほうがより効果的であると近年では考えられるようになってきているのだという。

では何と何を置き換えれば良いのだろうか。答えはシンプルである。健康に悪い食品を健康に良い食品と置き換えれば良いのだ。つまり赤い肉や白い炭水化物を減らし、その一方で、前述の5つの食べ物をお腹一杯になるまで食べれば良い。(30ページより)

このように、最新のエビデンスに基づく著者の主張はとてもシンプルかつ簡潔だ。以後も、オリーブオイルナッツが脳卒中やがんのリスクを下げる理由、果物の効能(とフルーツジュースリスク)、魚が体にいい理由、「白い炭水化物」や牛肉、豚肉、ソーセージ、ハムが体に悪いということの根拠など、これら5つについてのエビデンスが細かく、わかりやすく解説されている。

いわば余計な情報はいっさい排除し、「本当に大切なこと」だけをクローズアップさせているということ。そのため読者は、必要な情報だけを無駄なく吸収することができるのである。

コラムの内容にも注目すべき

また本書に関し、もうひとつ注目すべきはコラムの充実度だ。コラムは本文よりも注目されにくいかもしれないが、「食事と体重の関係」「オーガニック食材は健康に良いのか?」「グルテンフリーは健康に良いのか?」「日本食は塩分が多い」など、多くの人が気にかけていそうな話題を取り上げ、ファクトを明らかにしているのである。

なかでも特に注目に値するのは、ラストを締めくくる「インターネットを使って正しい健康情報を入手する方法」だ。

本当に健康になるための第一歩は、①テレビなどのメディアの健康情報、②本屋で売られている「健康本」(健康に関する本の多くが不正確な内容であり、本当の意味で健康になるための本ではないという意味を込めて、かぎかっこを用いて「健康本」と呼ぶ)、③日本語で書かれたインターネットの情報の3つはあまり信用しないことであると筆者は考えている。(165ページより)

それらは視聴率や本の売り上げさえ上がればよいという市場原理(経済的合理性)にのっとってつくられているため、情報の正しさよりも、目新しさや意外性が最優先されているということだ。

だとすれば、「インターネットを使って正しい健康情報を入手する方法」という見出しには矛盾を感じるかもしれない。しかし、そうではないのだ。重要なポイントは、インターネット上にある情報すべてが正しいわけではないという事実。

「健康にはみんな興味があるので、それをマーケティングのツールとして使えば高い視聴率や売り上げを達成できるだろう、というマインセットで作られている」ということだ。事実、数年前には、信憑性に欠ける記事で構成された健康関連のキュレーションサイトが問題になったこともあった。