消費者庁が10月に大阪市で開いたGM(遺伝子組み換え)食品表示制度に関する情報交換会の質疑応答の際、豆腐メーカーの担当者は、膨大な表示変更コストについて訴えた。

2020年4月「新食品表示制度」への完全移行、22年4月「加工食品の原料原産地表示」の完全施行、Non‐GMO表示の条件をGMO「不検出」に厳格化するGM食品表示制度の改正(現在は改正案、23年4月施行予定)に伴い、「(パッケージの)版代だけでも1点あたり10数万円かかる。食品業界では数百億円の社会的コストがかかると見られる。メーカーは流通に価格転嫁できない」――。

表示は、消費者が商品を選択する上で、必要な情報がわかりやすく得られることが肝心。しかし、Non‐GMO表示の条件厳格化をとっても、改正が消費者のためになるのか疑問だ。意図せざる混入によって万が一検出された場合の表示違反リスクから、Non‐GMO表示が減ると、「商品を選択しにくくなる。より努力をしている事業者を選択しやすくしてほしい」(消費者の一人)。こうした声にも耳を傾けるべきだろう。

また、来年10月の消費増税にあわせて、政府が導入を予定している軽減税率と、景気対策として検討している中小小売店でキャッシュレス決済で買い物をした人に対して2%ポイント還元する制度(IT・カード弱者無視、キャッシュレス化の促進が狙い?)。この対応も事業者にはコスト増で、お金がかかる話ばかりだ。

〈食品産業新聞 2018年11月1日付より〉