無印良品」で知られる良品計画が、フィンランドのベンチャー企業が行う自動運転バスの実証実験に車両デザインを提供しました。異色ともいえるこのコラボはどのような背景で実現し、どのような車両が登場するのでしょうか。

以前から自動運転車構想をもっていた無印

無印良品」を展開する良品計画(東京都豊島区)は2018年11月1日(木)、フィンランドで行われる自動運転バスの実証実験に車体デザインを提供したと発表しました。

バスの仮称は「Gachaシャトルバス」。フィンランドのヘルシンキ近郊3都市(エスポー、ヴァンター、ハメーンリンナ)で2019年から行われる、「全天候型」自動運転バスの実証実験に使われるものです。

実験の主体は、自動運転技術の研究開発を行う現地のベンチャー企業「Sensible 4」です。日本をはじめ、比較的温暖な気候の下で行われている自動運転実験と一線を画し、大雨、霧、雪といった気象条件での自動運転に対応すべく、北極圏のラップランドで技術テストと検証を進めてきたといいます。

なぜこのフィンランドにおける自動運転バスの実証実験に、無印良品として参加したのか、その背景を良品計画に聞きました。

――なぜ自動運転バスの実証実験に参加したのでしょうか?

世界中の様々な国や地域において「感じ良いくらし」を提案する無印良品は、生活に必要な商品の販売のみならず、社会でいま起きている様々な課題に目を向けています。自動運転などの先端技術は、都市部はもちろんのこと、より少子化や高齢化が進む地域での課題解決にこそ必要と考えており、その一躍を担えれば、と考えていました。

ひとつのきっかけとしては、2017年フィンランドインテリア見本市「Habitare(ハビターレ)」に無印良品が招聘(しょうへい)され、「公共の自動運転車」の構想を発表した際、Sensible 4がそれに呼応してくれたことです。個人所有の車ではなく、地域でシェアする公共交通機関としての実用化をターゲットにして開発していた点において、無印良品の考え方と合致し、共同プロジェクトを同年よりスタートすることとなりました。

無印のバス、どんなデザイン? じつは以前にもクルマに関与

――これまでに交通の分野に関与されたことはあったのでしょうか?

無印良品として、交通の分野におけるプロダクトに新しくデザインを起こしたのは今回が初めてです。社会課題の解決につながる取り組みに参加できる場合には、交通に限らず、広く可能性を探っていきたいと考えています。

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良品計画によると、フィンランドはすでに法律上、公道を走る乗りものに必ずしも運転手が乗車している必要がなく、自動運転車実験のしやすい環境にあるのだとか。「MaaS(Mobility as a Service/利用者の目的や嗜好に応じて最適な移動手段を提示するサービス)において最先端の国でもあり、自動運転の実用化実験に向けたプラットフォームが整っています」と話します。

今回発表された「Gachaシャトルバス」は全長4.5m、全幅2.5m、全高2.8m、定員16名(座席数10、立ち乗り6名)という小型車両。詳細はまだ明らかにはされていませんが、「使う側の立場で徹底的に考えたデザイン」といい、「前後のないミニマルでフレンドリーな形」「照明とコミュニケーションスクリーンが一体となったLEDライトベルト」「内装に沿ったラウンド型のベンチシート」がポイントだそうです。駆動装置は電動の4WDで、自動運転での最大速度は40km/h。急速チャージにより100km以上の走行が可能だといいます。

ちなみに、無印良品は交通の分野は初参入ではあるものの、じつは以前、クルマを販売していたことがあります。日産の2代目マーチ」をベースにした「MUJI Car 1000」です。セカンドシート素材だけをビニール表皮として価格を抑えるなど、簡素で無駄なく、実用的なデザイン便利なベーシックカーという無印良品コンセプトが反映されたオリジナルカーで、2001(平成13)年に限定1000台で発売されました。

それから17年を経たいま、良品計画は「今後の『車両』のあり方として、個人所有ではなくシェア、公共という形があるべき姿ではないかと考えています」と話します。なお、「Gachaシャトルバス」の日本での展開については、まだ何も決まっていないとのことです。

【画像】「無印のバス」車内

良品計画が車両デザインを提供した「Gachaシャトルバス」のイメージ。フィンランドでの自動運転実証実験に使用される(画像:良品計画)。