温泉に行った時、脱衣所内の壁などに「温泉分析書」が掲示されているのを見たことありますか? ちらっと見たら堅苦しい文言と数字の羅列なので「理解不能、パス!」、と思った方も!?でも、ここに書いてあることが読み解けると温泉の楽しさが倍増! お肌のケアにも役立つのですよ。細かいデータや難しいことは抜きにして、ここだけでも見るべし!という簡単なおすすめチェックポイントを2つに絞って紹介します。

第一滝本館の硫黄泉、“美肌の湯”の温泉分析書

例として挙げるのは、北海道登別温泉の老舗温泉宿、「第一滝本館」の温泉分析書。登別温泉は国内でも有数の温泉郷。鉱泉分析法によると日本の温泉や鉱泉は10種類に大別されるのですが、登別温泉にはそのうち7種類前後あり、第一滝本館にはなんと5種類もあるのです。今回はそのうちの2種類の泉質の温泉分析書をもとに紹介します。

温泉分析書は基本的には2枚に分かれています。細かい数値データが数多く並んでいる1枚目と、別表と記されている2枚目です。

■ 酸性?アルカリ性? pH(ペーハー)値を確認すべし!

まずここを見ておきたいという場所は、温泉分析書1枚目の上のほうにある「pH値」。pH値とは水素イオン濃度のこと。わかりやすく言うと、酸性・中性・アルカリ性の度合いを示した数値です。なぜpH値をチェックしておきたいかというと、酸性かアルカリ性かで肌など身体への作用が変わるためです。本来は泉質により異なるため一律に断言することはできませんが、一般的に以下の傾向が見受けられます。

酸性の泉質は殺菌作用があることが多いため、適度な刺激で肌を引き締め、肌の活性化を促すと言われています。肌の一番上の古い角質を溶かすピーリングのような感覚の泉質なので、泉質によっては美白を期待できることも! だからといって一日に何回も入るのは考えもの。特に酸性が強い泉質は刺激が強く肌への負担が大きいことが多いため、入浴はほどほどに。また、酸性が強い成分が肌に残ったままだと肌荒れをしてしまう場合もあるため、特に肌の弱い人は湯あがりにシャワーなどかけ湯をしましょう。ピリッと引き締まった肌には保湿ケアも忘れずに。

中性の泉質は肌のpH値に近いため、刺激が少なく肌への負担も少ないと言われています。ちなみに人間の肌は弱酸性ですが、汚れがたまると酸化して酸性に近づきます。中性から弱アルカリ性の温泉に入るとちょうど肌が中和されてよいかもしれませんね。

アルカリ性の泉質は肌の皮脂を溶かす作用があることが多いため、肌のツルツル感やスベスベ感が出ると言われています。いわば石鹸のごとく、肌をクレンジングするような感覚の泉質なので、身体を洗う時はタオルでゴシゴシするのではなく、手でやさしくなでるように洗うくらいがベストですよ。アルカリ性が強い場合は、肌の油分が取られすぎてカサカサになってしまうこともあるので、温泉成分を肌に残さないようシャワーで洗い流し、湯あがりにすぐ保湿をしっかりと。ただし、塩化物泉の場合は塩分が肌に付着して膜のような役割が期待できるので、むしろ洗い流さずそのままにしたほうが肌の乾燥も防ぎ天然の保湿パックに! ちなみに、pH値の区分は、

3未満=酸性  3~6未満=弱酸性  6~7.5未満=中性  7.5~8.5未満=弱アルカリ性  8.5以上=アルカリ性

温泉分析書に書かれているpH値の数字を見れば、ここの泉質が酸性、中性、アルカリ性のどれなのかということがわかります。入浴時に知っておけば、入浴中の心構えや入浴後の肌のケアもきっと変わるはずですよね。

浸透圧チェックすべし!

次にチェックしておきたい項目が浸透圧浸透圧とは、人間の体液を基準にした温泉水の浸透圧のことで、溶けている温泉成分の濃度により「高張性」「等張性」「低張性」の3つで区分されます。温泉分析書では泉質名の後にカッコで書かれていることが多いです。

高張性というのは人間の体液よりも成分濃度が濃いということ。成分が肌に浸透しやすいため“湯あたり”する場合があるので、あまり長湯にならない程度に入浴するのがベター。極端な言い方をすると、身体の水分が抜けるかわりに塩分などの温泉成分が身体に吸収されるようなものなので、普段の入浴よりも多めに水分補給しておくのがおすすめ。入浴後はもちろんですが、特に入浴前は最低限コップ1杯のお水は必須!

等張性の湯は人間の体液に近いもの。おおよそ、1Lの水に8.8gの食塩を溶かした食塩水の濃さに相当します。食塩の相当量を考えると体液って意外と濃度あるのですね。

低張性は人間の体液よりも成分濃度が薄いということで、水分が肌に浸透しやすいため入浴すると肌がふやけやすい傾向。そのため、タオルで身体をゴシゴシ洗ったら肌がボロボロになりやすいので注意しましょう。肌がふやけてシワシワになっても、もちろん入浴後しばらくすると元に戻るのでご安心を。高張性や等張性に比べて“湯あたり”しにくいのはポイント。泉質にもよりますが、長湯も楽しめそうです。水分が浸透するとはいえその分発汗はするので、入浴後の水分補給と軽い塩分補給は忘れずに。

ここだけ読むと、高張性は成分が濃く低張性は成分が薄い=成分が濃い高張性は温泉の効果が強く薄い低張性は効果が弱い、と思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。

浸透圧チェックして、肌に浸透しやすいのが水分か成分かという違いに対応すべく、水分や塩分の補給と入浴のしかたを変えて入浴を楽しみましょう!

温泉分析書は読み込むと、その泉質の特徴が深くわかるので、入浴前、入浴中、入浴後にどんなことを意識したら身体によりよいのか、ということが見えてきます。とはいえ、専門的なことを学び理解するのはかなり大変。

そこで、今回紹介した2つのポイントさえ押さえておくだけでも、かなり入浴の楽しみかたが変わるはず!今度温泉に行く時、ぜひチェックしてみてくださいね! 【北海道ウォーカー編集部】(北海道ウォーカー・川島信弘)

お湯を知るにはまず2つのポイントをおさえよう