習近平政権が構想する「一帯一路」の一環として、巨額のチャイナマネーがつぎ込まれた海外投資プロジェクトが、大損失の見通しであることが明らかになった。

 そのプロジェクトとは、エチオピアの首都アディスアベバとジブチを結ぶ「アディスアベバ−ジブチ鉄道」だ。

 そもそも一帯一路とは、鉄道、道路、航路によって中国とユーラシア、アフリカをつなぐ「現代のシルクロードプロジェクトだ。

 ところが、総額40億ドル(約4,530億円)もの投資を集め、中国中鉄と中土集団が運営権を持つ全長781kmの「アディスアベバ−ジブチ鉄道」は2年前に両国初の電気鉄道として開業したばかりだが、このたび中国の専門家が「完全な失敗だ」と指摘したのだ。

 信用保険会社「シノシュア」チーフエコノミストの王文氏が、香港で行われた一帯一路に関するフォーラム明らかにしたところでは、同路線の旅客の鉄道利用状況が想定を下回っていることに加え、サトウキビをはじめとする農作物の生産が低迷していることで、貨物輸送も振るわないという。

 同プロジェクトには、中国運輸銀行が33億ドル(約3,740億円)を融資しているほか、アジアインフラ投資銀行やそのほかの多国籍銀行からも資金が提供された。

 しかし、現在までにすでに10億ドル(約1,132億円)の損失が計上されており、現在も「赤字の埋め合わせに追われている」状態であるという。さらに王氏は「たとえ中国銀行が支援に動いても、同計画はもはや実効性に欠ける」と“死亡宣告”を言い渡し、「中国の関係者は、損害を避けるためにリスクマネージメントをしっかりとすべき」と警告した。

「現代のシルクロード」実現のためには、アフリカの物流インフラ整備は不可欠だ。中でもアディスアベバ−ジブチ鉄道は、重要性の高い案件とされてきた。それだけに、同案件に収益性の面で赤信号がともったことは、一帯一路全体の根幹を揺るがすことになりかねない。

 一帯一路をめぐっては、これまで協力を表明してきた各国での政権交代や、資金不足などによって先行き不安も出始めている。中国が描く現代のシルクロード構想は、このまま砂上の夢と消えるのか……。

 

 

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