※写真はイメージです photo by Pexels via pixabay(CC0 Public Domain)

 ご当地アイドル「愛の葉Girls」のリーダー・大本萌景さん(享年16歳)が、所属事務所社長やスタッフパワハラを苦にして、自らの命を絶った。そこで明らかになったのは地下アイドルと呼ばれる少女たちの悲惨な待遇や処遇、過酷な労働状況。一体何が起きているのか?

労働問題を多く手がける深井剛志弁護士


アイドルと労働契約を考える 地下アイドルは法律に守られないのか?

 年端もいかない少女たちがなぜここまで追い込まれるのか。労働問題を多く手がける深井剛志弁護士に、地下アイドルの労働契約について聞いた。

「複数のアイドルの案件を担当してきて感じるのが、運営側と彼女たちとの圧倒的なパワーバランスの違いです。それが端的に表れているのが契約書です。『物販・チケット・チェキの売り上げに準ずる』という記述はあっても、肝心の割合を示す数字がない。歩合制ならば、売り上げの何パーセントを支払うと明示されるべきなのです。さらに、『報酬は事務所が定め、支給しないこともある』と、事務所側の裁量と定められるケースもあります」

 さらに過酷なのが退職時のトラブルだ。大本さんのケースでは、運営側から1億円の損害賠償を求める発言があったと報じられた。

事務所をやめる際、レッスン費などの諸経費や将来の逸失利益の損害賠償を不当に求められるケースは多々あります。アイドルを目指す人は主に若年層で、社会経験や法律の知識が乏しい。『契約書に記載してあるので、払う義務がある』と言われれば信じ、高圧的な態度を取られると萎縮して、従ってしまう。そういった若年層の弱みにつけ込んでいるのです」

◆悪用される業務委託契約

 こうしたアイドル側に不利な報酬体系や退職規定のベースに存在するのが、業務委託契約だ。

「『事務所からタレントへ専属的な芸能活動を委託する』という体の契約になっていますが、雇用契約よりも法律の縛りが弱く、都合よく働かせるための抜け道として使われている。しかし、事務所アイドルの間に指揮命令関係や労働上の拘束が存在し、勤務実態として『労働者である』と認められれば、それをくつがえし労働者の権利を主張することは可能です」

 搾取だけでは、アイドルも業界もすり減る一方だ。双方にとってフェアな報酬分配が、業界の発展に不可欠ではないだろうか。

【深井剛志氏】
旬報法律事務所所属弁護士。不当解雇や残業代未払いなど、労働問題を多数手がけている

取材・文/野中ツトム・福田晃広・布施翔悟・沼澤典史・松嶋千春(清談社)
地下アイドル[やりがい搾取]の実態 ―

※写真はイメージです photo by Pexels via pixabay(CC0 Public Domain)