第71回全日本合唱コンクール全国大会の高等学校部門 Aグループ(小編成の部 8名以上32名以下)で金賞および長野県知事賞を受賞した三重県立津高等学校 音楽部。合唱を始めてまだ1〜2年という部員も多いそうですが、なぜ日本一の舞台に出場でき、金賞を勝ち取れたのでしょうか? 受賞直後の興奮冷めやらぬ中、部長の前橋有紗さん(2年)と副部長の伊藤香乃さん(2年)にお話を伺いました。

長い歴史の中で初出場・金賞受賞の快挙

―― 金賞を受賞された感想をお聞かせください。

前橋:来年で創部70周年を迎える長い歴史のある部ですが、全国大会に出場するのは今回が初めてなんです。この舞台に立つことを夢見て春から練習してきたので、まさか金賞までいただけるとは。驚きを隠せないというか、本当にうれしさがあふれ出す気持ちです。先輩方をはじめ、支えてくださった方に感謝の気持ちでいっぱいです。

伊藤:全国大会のホールで歌えることがすごく楽しみで今まで練習してきました。賞というより、歌えたことがただただうれしかったです。もちろん全国大会出場が決まってからは金賞を目指して頑張ってきましたが、やはり驚きました。まだ実感が湧きません。先輩たちが積み重ねてきた長い歴史があって今回賞をいただけたと思うので、ありがたいです。


―― 金賞を受賞できた一番の要因は何だと思いますか?

前橋:練習をしてきた中で「これならいける」という確信は最後まで持てませんでした。心の焦りが直前までそれぞれの部員の中にありました。リハーサルでもそんなにうまくできなかったんです。でも本番の一瞬にみんなが集中して心を一つにできたように思います。順調に来たわけではないことが、一つになれた要因だと思います。また、受験が近いにも関わらず、3年生の先輩方がたくさん部に残って参加してくださったことも大きな要因でした。

伊藤:個人的なことですが、本番では緊張することなく、これまで練習してきた内容や改善点を冷静に一つひとつ対処しながら進められました。次に進むおもしろさを感じられたのが良かったのかもしれません。

団結力が迫力のある歌声につながった

―― 今回の選曲はどのように決定されましたか?

伊藤:選曲はコンサートマスターという役職の部員と顧問の先生方が話し合って決めています。

前橋:私たちの部は男性の割合が非常に少ないので、課題曲はいくつかの候補の中から、その体制に一番適した曲を選びました。
部員の多くは高校から合唱を始めたメンバー。他の上手な学校の皆さんのような、美しい旋律を美しい発声方法で歌うという面では経験不足です。そのため、私たちの団結力や力みなぎるパワフルさを引き出せる曲を選びました。今回、たくさんの方々に「迫力がある」と評していただきましたが、それが私たちが表現できることだと思っています。


―― 大会に向けて、どのような練習をしてきましたか?

前橋:課題曲は4月半ばから、自由曲は6月から練習を始めました。私たちは普段から先輩後輩の関係でも友達のように仲が良く、団結力という面で苦労することはありませんでした。でも「全国を目指すなら今の姿勢ではいけないぞ」という話し合いはしました。一人ひとりが今の自分に向き合い、全国大会へ行くという強い意志を持って練習に取り組みました。

伊藤:今回選んだ課題曲カトリックの曲。最初は分からないこともあったのですが、歴史や作曲された背景を自分たちで調べて、一人ひとりが意思を持って歌えるように努めました。

この部活に入って良かったなと思える日に

―― 練習で一番努力したことは何ですか?

前橋:全体練習で気付いた自分の不足しているところや、先生に指摘されたことなど、苦手な箇所を全てつぶせるよう練習してきました。ギリギリまで慌てましたが(笑)、本番は締めることができました。

伊藤:私は上手な合唱団のCDやYouTube動画を、家にいるときや登下校の電車の中で聞いて、良いところを取り入れるようにしていました。


―― 大会全体を通した感想を教えてください。

前橋:舞台裏で聴いた他校の皆さんの歌声は、今までの県大会や地方大会とはレベルが違いました。前日には各校の代表者が集まる会議に参加したのですが、そういったときの一人ひとりの表情や自己紹介の仕方などを見ていても世界が違うなと感じていたので、その中の一員になれたのがうれしかったですね。

伊藤:高校から合唱を始めて、声の出し方など分からないことも多かったですし、副部長という役職にもプレッシャーを感じていたのですが、無事にここまで来られて、賞もいただくことができて本当に楽しかったです。まだ2年も経ちませんが、この部活に入って良かったなと思える日でした。



全国大会に出るのも初めてということで、まだ信じられないという様子のお二人でした。お二人とも事あるごとに言及していたのは、先輩方への感謝の気持ち。3年生の先輩はもちろん、長きにわたる音楽部の歴史を作ってきた過去の先輩方も、きっとこの快挙を喜んでいることでしょう。


profile三重県立津高等学校 音楽部
前橋 有紗さん(2年)、伊藤 香乃さん(2年)

【取材協力】全日本合唱連盟