今年3月に横断歩道を渡っていた通行人5人を撥ね、そのうちの幼児2人を死なせた運転手の女が自殺した。てんかん発作を起こしがちだった女は医師から警告されていたにもかかわらず運転を続けており、身勝手な事故を引き起こしたとして最長15年の懲役刑に直面していた。『New York Post』『ABC News』『Mirror』などが伝えている。

今年3月5日、米ニューヨークブルックリン、パークスロープの横断歩道を母親と一緒に渡っていたアビゲイル・ブルーメンシュタインちゃん(4歳)とジョシュア・ルー君(1歳)が、ドロシー・ブランズ(44歳、報道により45歳とも)の運転する車に撥ねられて死亡した。

ブランズは1月8日にも駐車していた車に衝突する事故を起こしており、病院に運ばれていた。多発性硬化症を患いてんかん発作を起こしやすい状態だったことから、医師は「運転を止めるように」と再三警告していたという。しかしそれを聞かなかったブランズは、3月5日の午後も運転中にてんかん発作を起こしてコントロールを失い、横断歩道を渡っていた通行人に車で突っ込んだ。そして5人を撥ね、その中の幼い2人の命を奪うという取り返しのつかない事故を引き起こした。

結果、ブランズは過失致死罪や他人を無謀に危険に晒した罪、また無謀な運転をした罪など計10件の罪で起訴されたが、保釈金を払って保釈されていた。10月3日に裁判所に出廷した際には、検察側から「てんかん発作が起こり得る状態であったにもかかわらず医師の警告を無視し、被告は身勝手な事故を引き起こした」と糾弾され、懲役5年~15年の可能性があることを示唆されたが、ブランズはこれを拒否していたという。次の出廷は11月20日に予定されていたが、11月6日の午後、ブランズはニューヨークのスタテン島にある自宅アパートで自らの命を絶った。

発見者はブランズの友人であり、2~3日連絡が取れなかったのを心配して訪ねて来たようだ。寝室で絶命していたブランズのそばには、高コレステロールや高血圧、てんかん発作、心臓病など処方薬の容器があり、短い遺書もあった。捜査にあたったニューヨーク市警察はブランズの遺書について詳細は明かさなかったが、7日になって「ごめんなさい。もうこれ以上耐えられない」「どうか蘇生しようとしないで」といった文書が残されていたことを発表した。

なお、この事故でアビゲイルちゃんの母ラシーさんも負傷したが、ラシーさんは「ラシー・アン・マイルズ」としてブロードウェイで活躍する舞台女優で、2015年にはトニー賞を受賞した経歴の持ち主である。事故当時ラシーさんは妊娠7か月だったが、2か月後の5月11日にお腹の赤ちゃんを失うという二重の悲劇に見舞われた。

ラシーさんの友人は「娘の死を慰めることができる唯一の救いになるはずだったお腹の子まで失ったラシーは、言いようのない悲しみの中にいる。母親になることを喜びとし、家族が増えることを何よりも楽しみにしていた。我が子を失ってしまったことが、彼女を絶望のどん底に突き落とした。あまりにも辛いこのような悲劇からどうすれば立ち直れるというのだろう」と悲しみを吐露した。

このニュースを知った人からは、「運転手は罪の重さに耐えきれなかったんだろうね。運転するなと医師に言われていたのだから、するべきじゃなかったんだ。子供を失った母親の悲しみを思うとやり切れない」「なんという悲劇。子供を失った家族のことを思うと心が痛む」といった声があがっている。

画像は『New York Post 2018年11月7日付「Suicide note from driver charged with mowing down two kids: ‘I can’t do this anymore’」(Gregory P. Mango)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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