福岡県教育委員会は今年度、中学生を対象に医師ら専門家による性教育の派遣授業をはじめた。中学校への派遣授業実施は九州初となる。
■妊娠した女子高校生、2年間で2098人
文科省が昨年9~10月、全国の公立高校を対象に行った調査によると、妊娠した女子生徒は2015・2016年度の2年間で計2098人であることが明らかになった。
また、妊娠を理由に退学した女子生徒は、674人。福岡県では妊娠した60人のうち、35人が退学しているという。
性の問題が低年齢化している実態を受け、福岡県教育委員会は、望まない妊娠や出産への対応を、早い時期に行う必要があると判断。派遣授業をはじめることにした。
■「性って何だと思いますか」
9月下旬、福岡県八女市矢部村にある全校生徒20人の中学校で、地域看護の専門家「保健師」の女性が、2年生の男女8人を対象に授業を実施したそうだ。
「性って何だと思いますか」と語りかけからはじまった。思春期を迎えた男女の体の変化や、性的な接触による妊娠の仕組みを、スライドを使用しながら伝え、胎児のエコー動画をスクリーンに映し出しながら説明した。
さらに、若年出産や性感染症のリスクも紹介し、「妊娠は素晴らしいこと。でも、中学、高校生に子育てができますか。好きな人でも嫌なことは断り、信頼できる大人に相談してほしい」と呼び掛けたという。
■今年度は約70校に実施
授業を受けた13歳の女子生徒は、「性感染症になると子供ができない体になることもある。友人に相談されたら、正しい情報を伝えられるようになりたい」と感想を抱いている。
専門家は「早い時期に始めることは意義深い」と話し、希望校を募っている。今年度は約70校に実施し、2020年度まで行う予定だ。
■「自然なことだから」「教える必要がある」
この取り組みにネットでは、「知識が増えると逆に性に目覚める子もいるのでは」と心配する声も少なからず見られる。しかし多くが「必要だと思う」と意見している。
「必要だと思うよ。 保健体育の授業じゃ本当に重要なことを教えてない気がするもん 」
「性教育先進国の海外は、性病にかかったらどうなるか写真を見せて学ばせる国もある。それくらいしていいと思う」
「学生の身分で妊娠したらどうなるのか、その後の生活や社会的立場がどう変わるかとか、現実的に教える必要があると思う」
「好きな人と一緒にいたい付き合いたいとクリアしていくと次に行動していくのは自然な事だからね。 そういうことをしっかりと教育するのはいい事だと思う」
ネットや雑誌で性の情報は転がっている。間違った知識のままでは、相手(や自分)の体を傷つけ、望まぬ妊娠が増えていくだけだ。何が正しい情報なのか知ることは男女ともに必要なことだろう。
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