電車に乗っていると、学生だけでなくスーツを着たサラリーマンも少年誌を熟読している光景をよく見かける。漫画は世代を問わず、多くの人に愛されているコンテンツと言うことができそうだ。ただ、「漫画は子供が読むもの」と決めつけ、大人が漫画を読むことに「いい年こいて」と違和感を抱いている人も少なくない。

はてな匿名ダイアリーで11月初旬、「大人にもなって漫画読んでる奴 何が大切なことは全てワンピースで学んだだよ もはや宗教だな」という投稿が寄せられ、漫画から人生のいろはを学べるのかどうかについての議論が展開された。(文:石川祐介)

ワンピースから学ぶのはよくても「ワンピースからしか学ばないのは問題」

「大切なことは全てワンピースで学んだ」という大人はダメ?

確かに、ワンピースが好きな人は登場人物の性格や生き方に強く共感していることが多く、ある意味で宗教的な人気と言えそうだ。そして、そうした人に目をつけてか、『ルフィ白ひげ 信頼される人の条件』『ワンピースの言葉が教えてくれること』『ルフィの仲間力』といった書籍も多数出版されている。

投稿者同様に「ワンピースから人生を学んだ」と公言することには抵抗を感じる人もいるようだ。はてなブックマークにも、

「昔、ワンピースの凄さを就活の面接で人事が話してきたけど、あの会社に入らなくてよかった」
「大人が漫画を楽しむのはいいと思うし、漫画から影響受けてもいいと思うんだけど、ワンピースを熱く語る人はなんかうわあって思っちゃうんだよなあ。なんでだろう」

といった声が寄せられていた。

自分の人生に影響を与えた作品として、超メジャータイトルを上げると、「それしか読んでいないでは?」と、底の浅さを感じてしまうのだろう。「ワンピースから学ぶのも大いに結構。でもワンピースからしか学ばないのはダメってだけ」という声もあった。

「何が 嫌いかより何が好きかで自分を語れよ!」

一方で、大人が漫画を読むこと自体は全く問題ない、という意見も多かった。

「いまだに大人が漫画読むことに偏見持ってるような奴は、そりゃあ何を読んでも学びは得られないだろうなあ」
「大人になってもまだ『他人の趣味に口出しするな』ということを理解できないのか」
「うるせえ! 何が 嫌いかより何が好きかで自分を語れよ!!」

確かに、「大人」について語るのであれば、他人の趣味を否定しようとする言動が、そもそも大人の振る舞いではないように思える。

また、「電車でジャンプ読むリーマン外国人観光客からどんな目で見られてるのか知ってるのか」と漫画を読む大人に冷ややかな視線を送る外国人が多いことを指摘する意見もあったが、

「なんかこれ昔から言われてるけど、逆にほとんどの国では漫画が大人が読むほどのクオリティがないから」

と日本の漫画は大人が読んでも楽しむことができるくらい、クオリティが高いからだと反論が寄せられていた。