メジャーリーグの2018年新人王にエンゼルスの大谷翔平が選出された。
流行語大賞に「翔タイム」がノミネートされるなど、2018年日米野球界に大きな衝撃を与えた。「球界の至宝」と言われる大谷翔平について、今季まで埼玉西武ライオンズの作戦コーチを務め、来季から東京ヤクルトスワローズの二軍チーフコーチに就任する橋上秀樹さんに解説してもらった。
対戦チームから見た大谷翔平の強さと弱点
同じパ・リーグにいて、相手チームとして対戦してきたけど、本当にすごい選手ですよね。まさに100年に一人の逸材。正直言って、これが弱点というのが見える前にアメリカに行っちゃったから、対策できないままでしたね(笑)。
彼の強さの秘訣は、まずは体が大きいということ。今まで日本人は190cm以上の身長はバランスよく使いこなせない、大成しないと言われてきたけど、岩隈なりダルビッシュがそれを覆してきてくれた。大きいということは、つまり手足が長い。手が長いというのは、使い方が上手ければ遠心力を使えるんですよ。遠心力が強ければボールに力が乗る。長い分だけ扱いが難しいし、バランスを取るのが難しいのは事実なんですけど、大谷はあの体を非常に効果的に使っている。
投げることにしても、打つことにしても。体が大きいことは有利なんだけど、体の使い方は教えられるものではないので、上手く使いこなせる日本人がやっと出てきたという思いですね。自分自身の体の使い方をよくわかっているなと思いますし、大谷は体格的にはメジャーリーガーに引けを取らないし、メジャー全体の中でも良い体をしていますね。
バッター大谷、ピッチャー大谷の武器は「柔」と「剛」
バッター・大谷は左中間やバックスクリーンのホームランの方が圧倒的に飛距離が出るんですよ。ボールを引きつければ引き付けるほどミート率が上がるんですが、手元に引き付けた分パワーが必要になるので、押し返せないんですよ、普通は。でも、彼は回転であったり筋力であったり、体幹であったり、そういったものがしっかりしているのでちゃんと押し返すことができるんです。
ピッチャー大谷と対戦するにあたり対策していたことは、とにかく160キロのストレートに力負けしないということ。配球がこうだ、とかより打ち返せるかという事。技術的なアドバイスとして、速さに負けないためにはこういう工夫が必要だとかは言えるけど、ただ、言えてそのくらいでしたね。
ある意味、ピッチャーとして究極なんですよね。真っ直ぐで抑えられるって。真っ直ぐの球威が不足しているから、真っ直ぐだけで抑えられないから、変化球とかコントロールとか配球とかが必要になってくるので。極論、真っ直ぐを投げてバッターが打てないなら他の球はいらないわけで。はっきり言って、大谷翔平は次元が違いますね。今までのピッチャーで大谷翔平以上のボールは見たことがないですよ。
バッターとしても、ピッチャーとしても、大谷の能力は今まで見てきた選手の中でも超一流ですよ。
イチロー、松井秀喜を超える能力を持つ巨人の選手
個人的には阿部慎之助の能力も非常に高いなと思っていて、イチローよりも阿部慎之助の能力の方が凄いなと思っていたくらいになんですけど。
バッターって、イチロー選手は「柔らかさ」で、松井秀喜選手が「強さ」という形容になると思うんです。巧打者と強打者の違いのようなもので。
巧打者はイチローのように三振はあまりしないけど、そんなに飛距離が出るわけではない。一方、強打者は脆さもあるけれど、当たった時の飛距離はとんでもない。お互いに良い面と悪い面があるのですが、この「柔らかさ」と「強さ」の二つを兼ね備えているのが阿部慎之助と大谷翔平だと思っています。阿部慎之助もすごいなと思っていたけど、もっともっとスケールを大きくしたのが大谷翔平ですね。
今まで柔らかさと強さを兼ね備えている打者ってあまりいなかったんですけどね。大谷は日本球界の最高傑作ですし、これからは世界を背負う至上最高の野球選手になっていって欲しいですよね。本当に漫画の主人公みたいな存在ですよ(笑)。
全て、私の個人的な見解ですが、とにかく凄い選手です。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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