iStock-917527628_e

 イタリアのピザの代表的なものといえばナポリピッツァマルゲリータだろう。

 イタリア王妃、マルゲリータ・ディ・サヴォイア=ジェノヴァが、「バジリコの緑、モッツァレラチーズの白、トマトソースの赤がまるでイタリアの国旗を表しているようだ」として気に入り、自らの名を冠したと言われている。

 もしあなたが完璧なマルゲリータを食べたいのなら、ローマに行けば良い。ナポリ発祥のマルゲリータだが、ローママルゲリータはことさらうまいのだそうだ。

 だが、それが難しいなら、他にも方法がある。

 イタリア物理学者が、完璧なピザを焼くための数式を導き出すことに成功した。

 すごくややこしい熱力学の数式なのだけど、それをもとに温度と時間を設定することで、自宅のオーブンでおいしいピザを焼き上げることができるという。

―あわせて読みたい―

ヴェネチアで大洪水発生。だがピザ屋は浸水する店で商売を再開。んでお客も食べにくるっていう(イタリア)
現金よりもピザ。従業員のやる気を引き出す最も効果的報酬はピザであることが判明(米研究)
ドミノピザのロゴのタトゥーを入れればピザが100年無料キャンペーン!応募者が殺到してわずか5日間で終了(ロシア)
カップ焼きそばがおいしいピザに大変貌!ソース味が決め手。フライパンでできる「カップ焼そばピザ」【ネトメシ】
ピザ愛が止まらないから...元囚人が伝授、刑務所で入手できる材料と道具で作る「刑務所ピザ」(アメリカ)

 これは『The Physics of Baking Good Pizza(美味しいピザの焼き方の物理学)』という研究論文の基本コンセプトだ。物理学者2人と食材人類学者1人が、ピザに科学で立ち向かった記録である。

 そう、すべてはおいしいピザの為なのだ。

pizza-1216738_640_e_e

pixabay

物理学者が教えるピザを焼く完璧な条件とは


 彼らが実験台に選んだのは、そのシンプルさゆえに究極のピザとも称されるマルゲリータだ。

 研究では、腕利きのピザ職人に頼んで、自分たちの目の前で生地を練り上げ、窯の中で焼いてもらった。

 ピザ職人の手にかかれば、ピザ生地は2分もしないうちにこんがりとしたマルゲリータに焼き上がり、「口の中からヨダレ」が溢れてくる。

おいしいピザを焼く決め手はレンガの窯の物理学

 ピザ職人によって明かされた美味しいピザを焼く秘訣は、レンガの窯の物理学だったという。

 窯の一角で薪を燃やし、内部で弧を描く壁と石の床面に沿わせて均一に熱を行き渡らせる。これによって、ピザのあらゆる面を均等に焼き上げることが可能になる。

 著者らによると、理想的な条件では、1枚のマルゲリータ330度に熱した窯の中でぴったり2分で完璧に焼き上がるという。

3_e1

image credit:arxiv

 ただし、トッピングを追加すると、その分だけ仕上がりまで時間がかかるようになる。

 ピザ職人によっては、木製かアルミ製の鋤で生地を持ち上げて、30秒ほど長く焼くこともあるだろう。こうすることで、底を焼きすぎることを防ぎつつ、「ピザを熱放射に晒す」ことができる。

ご家庭で完璧なピザを焼く方法「230度で170秒」

 だが、ほとんどの”素人”のご自宅には、レンガピザ窯などないだろう。

 ありがたいことに、著者らは一般的な家庭用電気オーブンでもマルゲリータ・ピザを焼き上げるヒントを教えてくれている――物理学を使うのだ。

 家庭用オーブンを使う場合、おそらくピザを金属製のトレイに乗せて焼き上げることだろう。

 ところが、金属の熱伝導率はレンガよりもかなり高い。そのために、ピザ生地は底の部分から急激に熱を吸収することになる。

 したがって、330度で2分焼いてしまっては、せっかくのピザが「炭」に変わってしまう。

 そこで物理学者の面目躍如とばかりにややこしい熱力学の公式から、家庭用電気式オーブンローマ風ピザを仕上げる完璧な解が求められた。

 その公式はすごくややこしい。

名称未設定-3

image credit:arxiv

 だが結局これだけを覚えておけばよい。

 

自宅のオーブンなら230度で170秒焼き上げる

 170秒だから2分50秒だ。

 ただし窯で焼く場合と同じく、野菜などのトッピングを乗せるなら、それに応じて焼き上げる時間を延ばしてやらねばならない。

 トッピングに含まれた水分が蒸発するために、ピザ生地から熱が逃げてしまうからだ。

supreme-pizza-619133_640_e_e

 著者らが認めている通り、この解に従って自宅でピザを焼いたとしても、ピザ職人が専用の窯を使ってこんがり焼き上げたピザには敵わない。

 また、日本とイタリアでは湿度など様々な条件が異なるし、オーブンの癖もあるので一概には言えないが、それでも、何も考えずに焼くよりは、かなり満足のいく一品に仕上がることだろう。もちろん生地もチーズもトマトも吟味しなければならないが。

追記(2018/11/13):本文を一部修正して再送します。
References:arxiv/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52267489.html
 

こちらもオススメ!

―料理・健康・暮らしについての記事―

全てはピザの為。イタリアの物理学者が「完璧なピザ」を焼くための数式を生み出す。その温度と時間は?
筋トレに取り憑かれた男性はうつ病のリスクが高まる(ノルウェー・アメリカ共同研究)
オランダの小さな蒸留所発。チューリップの球根からできた珍しい「チューリップ・ウォッカ」がナウオンセール!
最先端の便秘治療。モーター内蔵のカプセルを飲み機械的な刺激で便意を引き起こす「バイブラント・カプセル」
ニュースの数字に騙されないために。3つの統計原則を知りデータを見抜く方法

―知るの紹介記事―

触覚の不思議。人は不確かな情報をもっと良く知ろうとするとき、目で見るより触った感覚を信用する傾向にある(ドイツ研究)
人は肉だけで生きられるのか?イヌイットの食事を参考に全肉食を試みたカナダ人探検家「ヴィルヤルマー・ステファンソン」
美少女すぎる12歳の少年。完璧なメイクアップで妖艶な雰囲気を演出(タイ)
お金に困っていた未亡人女性がガソリン代を全部小銭で支払おうとしていた。それを見た男性が愛ある行動に(アメリカ)
筋トレに取り憑かれた男性はうつ病のリスクが高まる(ノルウェー・アメリカ共同研究)
全てはピザの為。イタリアの物理学者が「完璧なピザ」を焼くための数式を生み出す。その温度と時間は?