東京ディズニーランド着ぐるみを被ってショーなどに出演してきた契約社員の女性2人が、過重労働やパワハラで心身に苦痛を負ったとして、運営会社のオリエンタルランドの安全配慮義務違反を訴え、13日に千葉地方裁判所で意見陳述を行った。

来場客を楽しませる「夢の国」で行われていた数々の出来事に、ネット上では怒りや同情の声が相次いでいる。

 

■過重労働で負担がかかり…

合計約755万円の損害賠償を求めて7月19日、提訴に踏み切っていた今回の問題。

報道によれば、女性(29)は着ぐるみでの過重労働を続けた結果、「胸郭出口症候群」を発症してしまった。キャラクターになりきる努力が課せられ、体にかなりの負担がかかっていたようだ。

捻挫や熱があっても働かなければならず、休む場合は代わりの人を見つけなければならなかったため、労働を続けていたという。

 

■「ババアはいらねえんだよ」

一方、もうひとりの女性(38)は、複数の上司から5年にもわたるパワハラを受け、心療内科への通院を余儀なくされてしまったとのこと。

着ぐるみで来場客と記念撮影をする「グリーティング」を行っていたところ、成人男性の客から故意に右手薬指を反対側に折られて負傷したが、上司は「エンター(エンターテイナー)なんだからそのくらい我慢しなきゃ。君は心が弱い」と取り合ってもらえなかったという。

他にも「30歳以上のババアはいらねえんだよ。辞めちまえ」「病気なのか。それなら死んじまえ」との罵声も。

負傷の恐怖でフラッシュバックし、過呼吸の症状が出たが、上司から「次に倒れたらやめてもらう」と言われたとしている。

■「働く人を大切にしてほしい」

休むことさえゆるされない過酷な業務実態、上司からのパワハラなど「夢の国」とは思えない数々のエピソードに、ネット上では「やりがい搾取」「ブラックすぎる」と怒りの声が寄せられた。

東京ディズニーリゾートを利用したことがある人からすれば、いつも笑顔で接してくれるキャストや、ハイテンションで迎えてくれるキャラクターたちの裏でこのようなことがあったとしたら「ショック」と思うだろう。

ディズニーが好きだからこそディズニーには働く人達を大切にして欲しい」

 

ディズニーランドパワハラのやつ夢もクソもないなって感じでただひたすらに胸糞悪い、ディズニーが好きでゲストの笑顔が見たくて働いてたのに本当に気の毒

 

■「夢を守る」に疑問も

一方で「夢の国で勤務してたのだから、裁判とかやめて欲しい」「着ぐるみの中の人とか夢壊すような事言わないで」との声も寄せられている。

原告の女性2人も、夢を守るために裁判を起こすことを躊躇したというが、悪口が飛び交い、いじめが相次ぐ職場に耐えられず辞めていく同僚を見ていて訴訟に踏み切ったとのこと。耐えるだけでは何も変わらない職場を変えたいという気持ちがあったようだ。

 

■職場でパワハラに遭っている人は…

しらべぇ編集部が全国20〜60代の有職者の男女251名を対象に「職場でのパワハラ」について調査したところ、およそ6人に1人が「現在、職場で『パワハラ』を受けていると感じる」と回答している。

(©ニュースサイトしらべぇ

「改善を望みたい」「夢を壊さないでほしい」とさまざまな声があがった今回の訴訟。来場客だけでなく、そこで働く人も笑顔になれる環境であってほしいが…。

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(文/しらべぇ編集部・鳩麦エスプレッソ

【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」 調査期間:2014年5月19日(月)~5月20日(火)
対象:全国20代~60代の有職者の男女計251名

「死んじまえ」ディズニーのパワハラ訴訟 夢の国の裏側に「夢もクソもない」