南野や中島、堂安を最大限に生かすポイントの一つは…「メリハリのある雰囲気」

 森保一監督率いる日本代表は、16日の国際親善試合ベネズエラ戦(大分スポーツ公園総合競技場/19時30分)に向けて大分市内で合宿を続けている。MF青山敏弘サンフレッチェ広島)の不参加によりチームで2番目の年長となったDF槙野智章は、リオデジャネイロ五輪世代や東京五輪世代が躍動する現体制の状況を受け、「今は上の選手たちが汚れ役、汗かき役になるのがいいのかもしれない」との見解を語った。

 大分合宿の2日目は、合流が遅れていたFW北川航也(清水エスパルス)、海外組のDF酒井宏樹マルセイユ)とMF南野拓実ザルツブルク)、AFCチャンピオンズリーグ参加のMF三竿健斗(鹿島アントラーズ)らが加わり、追加招集のFW杉本健勇(セレッソ大阪)を除く22人で約1時間のトレーニングが行われた。

 森保体制の初陣から2カ月が経過し、今回で3回目の活動期間を迎えた日本代表だが、現体制では南野やMF中島翔哉ポルティモネンセ)、MF堂安律フローニンゲン)と2列目の若いタレントの活躍が目立つ。チームの若返りが進むなかで、槙野は「伸び伸びできる環境」と「締めるところは締めるメリハリ」を大事にしたいと語る。

「僕をはじめ、上の選手がごっそり変わっていますので、まずはある程度の雰囲気や代表の価値を下に伝えていかなきゃいけない。でも、もしかしたら、そういうのを押し付けるのが良くない部分もあるだろうし、今は逆に伸び伸びとできる環境にあることで、若い選手たちが持っているものをピッチ内で存分に発揮できているのかなと。様子を見ながら締めるところは締める、伸び伸びするところは伸び伸びする、とメリハリのある雰囲気を作れればいいなと思います」


中島がウルグアイ戦で長友を囮に使って仕掛ける場面を一例に解説

 槙野が“伸び伸び”の一例として挙げたのが、10月に行われたウルグアイ戦(4-3)の中島だ。

「彼らがもともと持っているクオリティーを、変にチームのルールに縛り付けることなく、存分に発揮できるような雰囲気が大事。前回、ウルグアイ戦で中島翔哉選手がドリブルした時に、長友(佑都)選手が2対1を作ってがんがんオーバーラップしているのに、平気で自ら仕掛けるシーンが何回もありました(笑)。ベテランを囮に使うくらいのメンタリティーを持っているので、今は上の選手たちが汚れ役、汗かき役になるのがいいのかもしれない」

 経験値という面でベテランがチームを引っ張っていくなかでも、「東口(順昭)選手も僕も、下からガミガミ言われたり、チーム内の上下関係はあまりラインがない」(槙野)という。世代の垣根を越え、文字通りの「融合」で生まれた良好な雰囲気は、森保ジャパンがさらなるステップアップを果たすうえでキーポイントになりそうだ。


Football ZONE web編集部・小田智史 / Tomofumi Oda

チームで2番目の年長者となったDF槙野(右から2番目)【写真:Football ZONE web】