日本の女性が実際に韓国に住むと、旅行のときには気づかなかった問題にいろいろと直面する。特に、どんなことを痛感するのだろうか。実際に体験した人の声を集めてみた。

違いに悩む交通マナー

かつて、韓国に住む多くの日本女性を取材したことがある。彼女たちの話には生活感がしみついていて、とても参考になった。そのいくつかを誌上で再現してみよう。

まずは交通機関のマナーについて。

「人の性格で悩みますね。特に、地下鉄に乗るときもマナーを守らない人が多い。それに慣れるのに大変でした。『こういう社会なんだ』と割り切れればいいんですけど」

「トイレで順番を待っているときなんか絶対に許せない。こっちは必死に我慢しているのに、平気で順番を守らない人が多いんです。しかも、おばさんだけでなく若い人でも並びません!」

「韓国と中国の両方に住んで思ったのは、何につけても韓国は中国と日本の真ん中だということ。中国は順番を全然守らないけど、日本人は律儀に守る。韓国は守る人と守らない人が半々。土地柄がよく出ています」

(参考記事:「実際に住み始めて幻滅した」日本女性が韓国で働いた時の本音を聞いてみた!)

意外と知られていない物価の違い

さらに、多くの人が言っていたのが「バスの運転が乱暴」ということだった。

確かに、韓国の地方に行くと、バスが車体をきしませながら飛ばしている。しかも、狭い一車線の道路でバスが乗用車を猛スピードで追い越したりする。韓国ではバスの事故が多いが、それは運転の荒っぽさが原因となってしまっている。


(写真=著者撮影)


しかし、中には「バスの暴走ぶりが結構好きなんですよ。あれだけは変わってほしくない」と言う人もいた。

また、韓国の物価の高さを指摘する意見も多かった。

「旅行気分ならいいけど、住むとなったらシビアです。お店ではちょっと日本語をしゃべれる店員さんが『日本円にしたら安いもんでしょ』とすぐ言ってくる。あれは頭にきますよね」

貯金、夫婦関係、姑との関係は?

韓国でウォンを簡単に円に換算する習慣ができると駄目だ。ウォンはあくまでもウォンなのだ。

「韓国は日本と比べると生活必需品が高いです。特に、トイレットペーパーと洗剤!」
「日本の100円ショップで売っているものがこっちで3000ウォン(300円)くらいで売っていますから」

生活必需品が高いことは多くの日本女性が強調していた。さらに……。

「Tシャツを買ったら、ロゴの縫い目があまりに雑でした」

デパートでコートを買ったとき、腕が長かったから短くしてもらうように頼んだんです。ところが、右手だけちゃんと直って左手が直っていなかった。こんな高いものを買ったのに、なんでこんな仕打ちを受けなければならないのか」

その怒り……よくわかります。

高級なデパートで社員教育もしっかりしていると思うのが普通だが、決してそうではないのが韓国。一流ホテルでも建て付けが悪かったり水が詰まったり。苦情を言っても「そう大げさにしないで」という感じ。チマチマしていないのが大陸的とも言えるが……。

さらに意見は続く。

「日本人は貯金しすぎ。使わないもの。反対に韓国人は凄い。老後どうするんだろ、というほど貯金をしないでお金をばんばん使う」

「韓国は女性が結婚したらミョヌリ(嫁)としてコキ使う。もう家のものという感覚ですから」

「夫は親孝行でもミョヌリ不幸」
「韓国の男性は親孝行だけど自分の親だけというのが嫌。もっと妻の親も大事にしてほしい」

話の中で「結婚したらミョヌリとしてコキ使う」という発言に生々しい現実感があった。日本の女性が韓国で暮らすのも、なかなか大変なようだ。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化や日韓関係を描いた著作が多い。特に、朝鮮王朝の読み物シリーズはベストセラーとなった。主な著書は、『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』『日本のコリアをゆく』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『ヒボン式かんたんハングル』『悪女たちの朝鮮王朝』『韓流スターと兵役』『朝鮮王朝と現代韓国の悪女列伝』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』。

初出:ロコレ

(写真=著者撮影)