韓国の男性グループ「BTS」(防弾少年団)が11月13日から東京ドーム公演を行っている。同グループは原爆のきのこ雲が描かれたTシャツやブルゾンなどを着用して批判が殺到。一部BTSファンの中には、SNSでBTSに批判的な発言をした人に過激な発言を行う人も出ている(関連:高須院長に殺害予告田村淳「目に余る言葉が届く」)。

しかし実際のところ、一連の騒動についてファンはどう思っているのだろう。キャリコネニュースはBTSファン、通称「ARMY(アーミー)」で音楽業界に携わるA子さん(仮名・20代女性)に話を聞いた。

「Tシャツの件は以前から問題視されていたので、『何で今更?』感が強いですね。原爆Tを着ていたジミンは、普段、Tシャツやシュノーケリングスーツも反対に着てしまうようなポヤポヤした子なのですが、周りのスタッフやメンバーも気づかなかったのもどうかとは思います。私含め周りのファンも『早く謝罪文出しなよ……』って思っていました」

テレビ局やレーベルが外からの圧力に屈してがっかりした」

画像は公式サイトをキャプチャ

原爆Tシャツが着用されたのは昨年。また原爆ブルゾンは2015年の公演の中で流した映像で、リーダー・RMが着用していた。日本では10月中旬、グループの紅白歌合戦出場内定が一部報道で出た際、「原爆Tシャツ」の着用を指摘・言及する人が増え、炎上に発展した。

それを受け「ミュージックステーション」も出演中止となったが、A子さんは「業界内では、今年9月に発表・取止めとなったBTS秋元康さんとのコラボ曲問題影響しているのではないかという見方も出ています」と話す。

BTS所属事務所の代表が秋元さんのファンで作詞をオファーしたんですが、反日の韓国ファンからの訴えでナシになりました。日本の音楽業界は秋元さんの力が強いし、スポンサーもガチガチ。Mステ出演中止はそれもあるんじゃないかという噂も飛び交っています」

また反韓感情を抱いている人や団体からの抗議もあったといい「そういう人たちの力でMステがなくなって、今後の日本活動すら危うくなってます。紅白歌合戦も出ないんですよね。出てほしかった……」と嘆く。

「何よりがっかりしたのは、テレビ局やレーベルが外からの圧力に屈したということ。バンタン(※編注:BTSの韓国読み「バンタンソニョンダン」から)は米国のヒットチャートで1位を取る世界的なアーティスト。椎名林檎さんや宮本浩次さんと同じ番組に出るところを見たかったです」

MステBTSが出演することはガラパゴス化する日本の音楽シーンに一石を投じることになるのでは、と期待していた分、ショックは大きいようだ。

「事務所はジミンがファンに直接謝るまで待っていてくれたんだなと、感動した」

BTSについては、

「バンタンが反日じゃないってことは昔から分かっています。彼らは韓国で流行る前、日本で人気が出ていて日本人ファンが多かった。彼らは10代のときから日本語を覚えて、今ではスラスラ話しています。個人的に日本に旅行しに来ることもあります。彼らも日本に感謝しているはずです」

また韓国の芸能業界は、大手事務所に所属しない限りテレビに出演したり、ヒットしたりすることは中々ないが、「小さな事務所に所属する彼らは『テレビが出れないならSNS』とダンスや企画モノの動画をネット配信するようにりました」とグループのこれまでの経緯を説明。

「韓国アーティストは、SNSは事務所を通してやることが多いんですが、バンタンは全部メンバーまかせ。プライベート写真や動画をガンガンあげたり。それが海外の人たちの目に止まって、何より彼らはダンスが独特ですしね。韓国で売れる前に海外で人気が出て、急にビルボードを取ったんですよ。韓国人アーティストでは初です」

さらに「他の事務所は弱小事務所に先を越されて悔しくて、韓国内でバンタン潰しが起こっています。先輩も後輩もいない中、人気だけが大きくなって国とか政治とか絡んでバッシングされる。そんな中メンバーで支え合っているんです」と話す。

「今回の騒動は、彼らが受けてきた教育もあるから難しい。日本のファンは彼らの人間性だけを見ています。早く謝罪すればいいのにどうしてしないの?って心配していましたが、昨日の東京ドーム初日公演、ジミンが謝りました」

14日には、事務所が公式サイトに見解を発表した。同社は戦争および原爆を支持しないこと、被害者を傷つける意図はないなどと述べ、謝罪を表明した。日韓の原爆被害者協会の関係者に説明と謝罪を行ったという。これについて「事務所はジミンがファンに直接謝るまで待っていてくれたんだな、と感動しました」という。

「国とか関係なくて、人間として彼らが好きだから、人として永遠に彼らを推したい」

東京ドーム初日公演には抗議デモやテレビ取材が殺到していたが、ファンの間で「全員シカトしようってSNSで拡散されています」。ファンの中にはSNSに過激な投稿をする人が見られたが「本当にないなって思っています」と呆れていた。

「SNSに関しては、バンタンはよくチェックしてくれているので、世界中のファンがジミンのためにハッシュタグ付けて励ましていました。どうにかメンバーにアーミーがいるよって伝えたくて」

東京ドーム公演では「メンバー全員、日本語でスラスラ話してくれて、テテ(V)は『世界中のアーミーと日本のアーミーが心を合わせて支え合っているのをこの数日で見ました。すごく温かくなりました』って言っていました」。炎上の発端となったジミンさんは、

「『僕のせいで世界中の、日本のみなさんにご迷惑とご心配をかけてごめんなさい。今後、また日本に来れることを信じています』って言ってました。普段なら絶対泣かないメンバーも泣いてて、ファンも泣いてました」

と振り返る。2日目の公演については「どんなことを言ってくれるのか楽しみ。国とか関係なくて、人間として彼らが好きだから、人として永遠に彼らを推したいです」と話す。