兄の勧め、そして「若林くんや若島津くん」に憧れて始めたサッカー

 J3のSC相模原に所属する元日本代表GK川口能活は4日に現役引退を発表し、14日に引退記者会見に臨んだ。人気漫画『キャプテン翼』のキャラクターである「若林くんや若島津くんに憧れた一人」とサッカーの始めたきっかけを語った一方、プロ時代には“身長コンプレックス”があったと告白している。

 サッカーの世界に足を踏み入れたのは、兄の影響だったという。「僕には兄がいるんですけど、その兄の勧めです。兄は僕がサッカーチームに入る前からGKの練習をさせてくれた」という。また「あとはキャプテン翼ですね」と人気漫画からも刺激を受けたと振り返る。

「僕は翼くんや日向くんより、(GKの)若林くんや若島津くんに憧れた一人なんですけど、その二つがキッカケになりました」

 漫画のキャラクターに憧れた抱いた少年は着実に成長を遂げ、プロとしてピッチに立ち、ついには日の丸を背負ってワールドカップ4大会に出場。いつか描いた夢を叶え、自身がまるで漫画の登場人物のような軌跡を歩み続けた。

「GKを続けたことが何をもたらしてくれたかというと、僕は上背があるわけではない。そのなかで練習を続け、自分が足りないと思ったことに努力を続け、そこでこれだけ長いプロ生活を送ることができた」


身長コンプレックスを克服するべく「動きの速さやジャンプで何とかしたい」と努力の日々

 そう自負する川口は、「努力を続けることの大切さ」を肌身で感じている。その理由は“身長コンプレックス”にあるという。川口は180センチで、GKとしては決して大柄とは言えず、プロになってから身長に関して言われるようになったと振り返る。

「常に自分は代表クラス、あるいはワールドクラスのGKに比べて身長がないと言われ続けた。高校生まで、身長のことは言われたことがなかった。プロになって言われるようになり、強がっていたけど、内心悔しいというか……」

 横浜F・マリノスでプロデビューを飾った川口は、ポーツマスFC(イングランド)、FCノアシェラン(デンマーク)、ジュビロ磐田FC岐阜と渡り歩き、2016年から相模原に所属。そんなプロ生活において、身長コンプレックスが一つの原動力になったようだ。

「そのどうしようもないことを、動きの速さやジャンプで何とかしたい。コンプレックスを克服すると。足りないものを努力するためのエネルギーを、GKを始めたことで知ることができた。エネルギーを出すやり方、手段を学ぶことができた」

 川口は反骨精神や不屈の闘志をエネルギーに変え、プロの世界で戦い続けてきた。日本代表のGKとして歴代1位の116試合出場――その偉大な功績が川口の努力を何よりも物語っている。


Football ZONE web編集部)

GK川口は、身長コンプレックスがあったと告白している【写真:Getty Images】