俳優のケイシー・アフレックと女優のルーニーマーラの共演で、ゴーストの視点から見た「死後の世界」を幻想的な映像で描く映画『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』。本作のメガホンを取るデヴィッド・ロウリー監督が、アイデアが生まれたきっかけを明かした。

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 本作は、映画『ムーンライト』『レディ・バード』などを配給する北米の映画会社A24が手がけた、斬新ながらもどこか懐かしさを感じさせるシーツ姿のゴーストが主人公の物語。不慮の事故死を遂げたC(ケイシー)はシーツ姿のゴーストとなり、自分のいなくなった世界で悲しみに独り苦しむ妻M(ルーニー)を切ない思いとともに見守り続ける。

 これまでにない、新しい形の大人のゴースト・ストーリーを生み出すにあたり、ロウリー監督は自身のパーソナルな思想と実体験をベースにした。元々のきっかけは、ロウリー監督が仕事のためにロサンゼルスに引っ越すか、テキサスに残るかについて、妻とけんかをしたことにあるそう。「それは今までで一番大きなけんかだった。まるで映画のワンシーンのようだったよ」と当時を振り返りつつ、その後の数ヶ月間でさまざまなアイデアが浮かんできたというのだ。

 ロウリー監督は自分自身の存在意義や、時間がどのようにこの世界に影響しているのか、人々が行き交う入り口や通路などについて考えを巡らせたといい、その答えともいえる自身の思想をベースに本作の製作を進めた。「この映画では、ただ空間に存在するだけとはどういうことなのか、というテーマを扱っている。そして、その問題を映画として描くことができたと思う」と、本作のコンセプトを明かしている。

 ロウリー監督は、2000年に短編映画『Lullaby(原題)』で監督デビュー。ケイシーとルーニーを主演に迎えた2013年の作品『セインツ ‐約束の果て‐』は、第66回カンヌ国際映画祭の批評家週間部門にて特別上映された。2016年にはディズニー映画『ピートと秘密の友達』で監督・脚本を務めたほか、同じくディズニー製作の『ピーター・パン』の実写映画の監督にも抜てきされており、注目を集めている。

 さらに2019年には、引退を表明しているロバート・レッドフォードとケイシーの主演で、実在した強盗犯フォレスト・タッカーと彼を追跡する警官の物語を基にした映画『The Old Man and the Gun(原題)』も控えており、今後の最注目株といえるロウリー監督。その稀有な才能と手腕を劇場で確かめたい。

 映画『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』は11月17日より全国公開。

『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』のデヴィッド・ロウリー監督(C)2017 Scared Sheetless,LLC. All Rights Reserved.