11月8日に放送された『ブラックスキャンダル』日本テレビ系)の第6話は、タレントとマネージャーの絆が垣間見えた回。ソフィア瑛茉ジャスミン)と水谷快人(若葉竜也)、小嶋夏恋(小川紗良)と矢神亜梨沙(山口紗弥加)、そして亜梨沙と花園由祐子(平岩紙)の絆だ。(関連)

マネージャーで全く異なるタレントの行く末
ソフィア−水谷
花園にヌード写真集を出すよう命じられたソフィアは撮影直前に逃亡。誰も行き先が掴めないが、その時、ソフィアはビルの屋上から飛び降りようとしていた。亜梨沙はすんでで彼女を発見! 久保寺徹(笠原秀幸)を殺害したソフィアの罪を被り、身代わりで自首した水谷に接見した亜梨沙は水谷から伝えられていた。
「(ソフィアは)つらいことがあるとよく行く場所があって、そこでよく言ってたんです。東京の空は狭いけど、このビルの屋上からは広い空が見える」
ソフィアは自分が久保寺社長を死なせてしまったことや、花園に枕営業を促されたことをマスコミに告白した。

●夏恋−亜梨沙
花園がソフィア枕営業を強要したという記事を週刊誌に掲載する目論見がすんででバレ、亜梨沙は事務所をクビになる。ショックを受けた夏恋は、何度も自分を救ってくれた亜梨沙のために何かできないか思案、花園に枕営業を強要された過去を告白する動画をSNSで配信した。
「自分がドラマに出演するために枕営業をしてしまいました。私はあるマネージャーから枕営業の提案をされました。私の他にも同じような選択をして苦しい思いをしている人がたくさんいると思います」
夏恋とソフィアの告白を機に花園についてマスコミやネットは書き立て、今度は花園が事務所を解雇される。後任には亜梨沙が収まった。途中までは「もうダメか……」と諦めかけたものの、夏恋が救ってくれた格好だ。

亜梨沙が担当する以前の夏恋は枕営業を課されたり、結果を出せず解雇寸前に追い込まれていたようなタレントだった。それが、今や連ドラの3番手をゲットするほど頭角を表している。方や、社長殺害事件を起こし、直後にヌード写真集を製作するという気の触れた戦略を強いられるソフィア。芸能界は怖い。マネージャーでこうも変わるのかと……。

闇落ちする前の平岩紙がお手本だった
「タレントなんて所詮使い捨てよ。代わりはいくらでもいる」と豪語する花園と、「私はマネージャーとしてタレントの夢は絶対に信じ、守り抜く」の亜梨沙が、遂に直接対決! 花園のやり方に我慢ならない亜梨沙は花園をビンタし、そして決め台詞だ。
「一滴残らず、地球上から干されて消えろー!」
こんなにも憎しみのボルテージが上がった亜梨沙は見たことがない。

亜梨沙が回想する過去、藤崎紗羅(松本まりか)だった頃の花園とのやり取りは楽しそうだ。ただ憎いだけではなく、絆があったからこその悲しみを含む憎しみ。テレビプロデューサーの五色沼仁(袴田吉彦)や2世俳優の棚城健二郎(波岡一喜)らへの復讐とは、根本的に経緯が違う。

●亜梨沙−花園
5年前に捏造された紗羅の不倫スキャンダルの真相について、実は花園も知らされていなかった。
「私だって紗羅を助けたかったの! でも、あの謝罪会見で気付いたの。この世界は誰も考えられないような汚い手を使ってくる。だったらそれ以上のことをしないとこの業界では生きていけないって」
元はタレントを大切にするマネージャーだったのに、5年前から闇落ちしていた花園。真面目すぎたからダークサイドへの振り幅も大きかった。

昔の花園を回想する亜梨沙。
「私が担当になったからには、絶対にあなたを売れさせるから」
「あなたの足を引っ張ろうとするものは私が止める! 私があなたを守るから」
「こんなゴシップなんかに私の、私の紗羅は絶対に潰させないから」

亜梨沙が夏恋を守るマネージャーとしての姿勢は、裏切られた経験の反動ではなく、花園から受け取った言葉をお手本にしたものだった。亜梨沙の理想のマネージャー像は、熱心だった頃の花園。かつての花園が自分にしてくれていたことをそのままやっていただけ。夏恋が亜梨沙を信頼しているように、亜梨沙は花園を信頼していた。

花園の前で亜梨沙はひざまずき、「信じてください!」と5年前の言葉を口にした。ハッと顔色が変わる花園。
「もし、今、目の前に紗羅がいたら一つだけ謝りたい。紗羅は不倫なんかしてないって最後まで信じてあげられなかったことを」
亜梨沙が紗羅だと、花園は気付いた。

花園を引きずり下ろして復讐ができたと思ったのに、5年越しにお互いの存在を理解し合えた切なさ。捻じ曲がったマネージャー論に至ってしまった花園も被害者。あの会見で人生が変わった一人だった。

亜梨沙と花園のやり取り、泣けた。まさか、このドラマで感動するとは。赤ちゃんプレイや袴田の「あぁ〜ぱぁ〜っ」の時には想像さえしてなかった。芸能界で色々と見てきたであろう2人(山口紗弥加と平岩紙)だからこその、迫真の演技ではないだろうか。

松井玲奈の言葉に矛盾がある
ドラマは最終章に突入する。最大の焦点は、誰が“黒幕”かということだ。まず、今回で花園の線は消えた。

ここで振り返りたい。そもそも、亜梨沙はなぜ花園を敵と思い込んだのか。事務所をクビになり、廃人同然となっていた紗羅の家を訪ねた阿久津唯菜(松井玲奈)は、紗羅にこう言った。
「この間、棚城健二郎さんと初めて共演したんです。撮影の後に食事に誘われて、その時に彼が言ったんです。『5年前の会見、あれはフローライトの勅使河原社長とマネージャーの花園さんに頼まれて芝居をした』って」

今回の花園の告白により、唯菜のリークに虚偽があることがわかる。花園は依頼をしていないはず。あの会見には花園もショックを受けていたのだから。“黒幕”=唯菜との予測を立てるのは早計だが、踏まえておきたい事実だ。

怪しげな人物の正体や真意が明かされ、真相に近付きつつあるこのドラマ。残されたポイントは以下だ。
・「ある記事を差し替えるために不倫記事を捏造した」とのことだが、勅使河原友和(片岡鶴太郎)が5年前にもみ消したスキャンダルとは?
・水谷の姉(中村静香)に何があった?
・亜梨沙の正体を知り、純矢(安藤政信)はどうする?
勅使河原に次いで社長となるジョーンD(マイケル富岡)の正体は? どんな経営戦略を打っていく?

突飛なストーリーだが、現実味がないわけではないこのドラマ。「こういうエグいことが芸能界にはありそう」となんとなく我々も察しているだけに、変に生々しくて怖い。
(寺西ジャジューカ)

木曜ドラマF『ブラックスキャンダル』
脚本:佐藤友治ほか
監督:長沼誠ほか
音楽:井筒昭雄
主題歌:「ドグマン」(ゲスの極み乙女。
チーフプロデューサー:岡本浩一
プロデューサー:福田浩之、中間利彦、茂山佳則(AX-ON)、西紀州(AX-ON)
制作協力:AX-ON
制作著作:読売テレビ
※各話、放送後にHuluにて配信中

読売テレビ・日本テレビ系 木曜ドラマF「ブラックスキャンダル」オリジナル・サウンドトラック/ワンミュージックレコード