子供(Oat_Phawat/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

少年犯罪における「実名報道」は、一筋縄ではいかない難しい問題だ。一般的には、逮捕・起訴された場合、「少年A」などと報じられるため、この言葉は広く知られ、中森明菜の2枚目のシングル『少女A』は、この少年Aをもじったものとされる。

しかし、悪質な事件の場合、「実名を出せ」といった声がインターネット上などで噴出することも多い。実際には、どれくらいの人が「少年犯罪の実名報道」を求めているのだろうか。

 

■6割が「実名報道」を希望

しらべぇ編集部が、全国20〜60代の男女1,537名を対象に調査したところ、「少年犯罪も実名報道すべき」と答えたのは、全体の62.6%。

少年犯罪

男性は60.0%だったが、女性は65.2%と5ポイント以上の差をつけて、女性のほうが厳しい結果となった。

 

■中高年男女で厳しく

この調査結果を男女・年代別で切ってみると、実名報道を希望する層も見えてきた。

少年犯罪

実名報道すべき」と答えた割合がもっとも多かったグループは、40代女性で71.8%。女性は30代以降おしなべて7割前後と高い水準で推移している。一方で男性は、年代とともに徐々に割合が上がっていき、60代では7割に迫った。

成人してから日が浅い20代では、男女ともにもっとも低く、20代男性は唯一5割を下回っている。

■経営層に厳しい傾向

また、職業別では、会社経営者や自営業者が7〜8割とかなり高い傾向を示した。

少年犯罪

学生(20歳以上)は、身近なテーマだけあってかもっとも低く、4割を割り込んでいる。

 

■少年法61条との兼ね合いも

少年法は、未成年で犯罪を犯したいわゆる非行少年について、20歳以上の成人と異なる取り扱いを定めているが、61条では以下のように実名報道を禁止している。

「家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であること推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない」

 

ただし、この条項には罰則規定がなく、また逮捕前の指名手配の状態や犯罪時に未成年であっても死刑確定後は、実名報道を行うメディアも多い。

また、女子高生コンクリート詰め殺人事件神戸連続児童殺傷事件など、凶悪な事件については、一部週刊誌が実名報道に踏み切るケースも。

また昨今は、報道されていない本名や住所などの個人情報が、ネットユーザーによってSNSや匿名掲示板などに晒してしまう事態を起きている。

法の定めやメディアの自主規制はありながらも、世間の「知りたい欲求」はかなり強いのが実態のようだ。

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(文/しらべぇ編集部・タカハシマコト

【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」 調査期間:2018年10月19日~2018年10月22日
対象:全国20代~60代の男女1,537名(有効回答数)

「少年A」と報じられる少年犯罪は実名報道されるべきか 男性より女性の厳しさが顕著に