日本水産 中野博史家庭用食品部長

日本水産 中野博史家庭用食品部長

日本水産の18年度上期家庭用調理冷食の売上高は前年比5.3%増240億円、業務用を含めた農産冷食(約半数が家庭用) の売上高は7.9%増64億円とともに伸長した。調理冷食はおにぎり、ピラフが伸びた米飯や、鶏加工品がけん引した。上期の概況や下期の方針等について、中野博史家庭用食品部長に話を聞いた。

上期のカテゴリー別概況は、「今日のおかず若鶏の竜田揚げ」が伸長した惣菜類が10%増、米飯類も10%増と伸長し、市場を上回った。米飯類は、17年春に発売したものの製造が追いつかず一時販売中止し、17年秋に再発売した「いきなり!ステーキ監修ビーフガーリックピラフ」が上乗せとなったほか、焼きおにぎり類も順調で、数字を押し上げた。

また、ロングセラー「わが家の麺自慢 ちゃんぽん」は、昨秋に30周年企画を実施し、TVCMも放映したが、今年度に入っても好調で5%増と伸長。中野部長は「CM効果がしっかり出て、新規ユーザーや過去のユーザーのリピーター化があった。また、他社が相次いでちゃんぽんの新商品を投入したことで、売場の露出が高まった効果もあるとみている」と言う。

一方、弁当品は市場が2%減ほどと想定する中、3%減と軟調。主力商品の1つ「ほしいぶんだけ 炭火焼さけの塩焼き」が、原料価格高騰により値上げしたことにより大きく落ち込んだことが影響した。一方、弁当品の中では「同 若鶏のやきとり串」が好調だった。中野部長は弁当品について「市場で新商品も少なくなり売場が停滞しているが、まだ冷食の中で売上規模は大きく、何か手を打つことも考えたい」という。

おつまみ系では「おうちおつまみ モッツァレラのチーズ揚げ」が堅調だが、「その他の商品はまだまだ。ただ、店頭でおつまみのコーナー化が増えており、売場作りには貢献できていると考えている」とした。

冷凍農産は、中心となる枝豆のほか新アイテムを増やしており、生鮮野菜高騰もあり国産の「宮崎産ほうれん草」なども好調だった。一方、収益面では米、すり身などの原材料価格、物流費、包材、人件費などさまざまなコストアップで厳しい状況。量販店の売り方がEDLP 化する中、単品特売が増えていることも収益に影響しているという。ただ「コスト転嫁を考えると価格改定を実施したいのはやまやまだが、現時点では白紙」だとした。

〈売場作りのための施策実施、「スープパスタ」は新商品で初TVCM〉
販売施策では、今春「若鶏の竜田揚げ500g」「たこ焼き40個」「塩あじえだ豆800g」でサッカー日本代表オフィシャルライセンスパッケージの商品を発売。「これまでやってこなかった取組みで、エンド陳列など販促・売場作りの取組みとして成功した」という。それを踏まえ、下期は新商品「今日のおかず 若鶏の旨だれから揚げ」と、既存の「同 若鶏の竜田揚げ」などを対象に、量販店400店舗以上で「ディスプレイコンテスト」を実施。売場活性化とともに、セールスが店舗を回り関係を深めることにも繋げている。

また、今秋の新商品「デリシャスキッチン スープパスタ」では、名古屋地区限定ではあるが、10月に同社の新商品として初めてTVCMを放映。同地区では管理の範囲で全チェーン、65%の店舗への配荷に成功したという。配荷が高いとCM効果も高まることから、1月にも同地区でTVCMを放映する予定で、効果を見定め、今後他のエリアでも新商品のTVCM放映等も検討していく。

ハチカ焼きおにぎりライン稼働で製造能力25%増〉
製造面では、ハチカン冷食工場の焼きおにぎりラインを増強し、10月から稼働。80g、50gのおにぎりを製造する。これにより、焼きおにぎり製造能力が全体で約25%増となったのみならず、八王子北九州と3工場体制で生産の平準化を図ることができるようになる。また、炊飯方式が他工場の連続式ではなく、釜炊飯のため、バリエーションを作りやすくなることから、今後新商品開発にも繋げていく方針。

〈冷食日報 2018年11月16日付より〉
日本水産 中野博史家庭用食品部長