Photo credit: European Southern Observatory on Visualhunt / CC BY
Point
バーナード星系は太陽系から2番目に近い星系であり、中心には固有運動の高い赤色矮星がある
・赤色矮星の運動に惑星重力による摂動が含まれていないか、膨大なデータを元に調べた結果、惑星の存在が示唆される
・惑星は地球の質量の3.2倍ある凍ったスーパー・アースで、ハビタブルゾーンにはない

今回、系外惑星候補が見つかったのは、バナード星系。アルファ・ケンタウリ星系に次いで、太陽系に近い恒星です。非常にすばやく固有運動していることが分かっており、天空で最も見かけ速度の速い恒星でもあります。

1960年台に、その固有運動に摂動が含まれ、惑星が存在すると発表されましたが、後に誤りであったとして退けられています。今回は、そのバーナード星系での惑星の発見でした。

今回発見された惑星は、「バーナードスターb」。地球の3.2倍の質量を持つ、凍ったスーパー・アースです。別の方法による確認が取れていないので、まだ惑星候補ということになりますが、研究者は99%の確率で間違いないと語っています。研究は“Institute of Space Studies of Catalonia”で行なわれ、“Nature”にオンラインで発表されています。

A candidate super-Earth planet orbiting near the snow line of Barnard’s star
https://www.nature.com/articles/s41586-018-0677-y

最も近い星系であるアルファ・ケンタウリと、次に近い星系であるバーナード星系、この最も近い2つの星系で系外惑星が見つかったということは、天の川銀河において、恒星が惑星を持つことがありふれたことであるということを示しています。

バーナード星は天文学者E.E.バーナードによって発見された赤色矮星です。時速50万キロという猛スピードで動いていて、太陽系にどんどん近づいてきています。1万年後にはプロキシマ・ケンタウリを抜いて太陽系に最も近い恒星となります。年齢は太陽の2倍ですが、大きさは6分の1で明るさは3%しかありません。そのため、ハビタブルゾーンは0.06AUから0.10AUと、恒星に非常に近いところにあります(AUは太陽と地球の距離を1とする単位)。

研究では、恒星の視差速度により惑星重力による摂動がないかを探る方法が使われました。今回の研究では、世界中にある7台の天体望遠鏡の771もの観測データが使われ、注意深く解析が行なわれています。見つかったシグナルの中に、もう一つ別の惑星に結びつくものも見つかっていますが、候補に入れるには弱すぎるとのこと。

Photo credit: European Southern Observatory on Visualhunt / CC BY

見つかった惑星候補、「バーナードスターb」は、少なくとも地球の3.2倍の質量を持つ、海王星ほどは大きくない「スーパー・アース」です。バーナード星から0.4AUの距離にあって、公転周期は233日です。ハビタブルゾーンの外にあり、液体やガスが凍りつくスノーライン付近にあります。表面温度は-170℃であると見積もられています。そのため、生命の存在はあまり期待できません。

惑星の存在を確定するには、他の方法が必要となりますが、ガイア宇宙望遠鏡による精密な位置データや運動データによる確認を現在行っているそうです。

 

かつて、宇宙船計画において目的候補地としてあげられていたバーナード星。今回発見された惑星は、バーナード星系に惑星が存在することを強く示しており、もしかすると他にも惑星がある可能性もあります。未来の人類がバーナード星に到達した時、そこには着陸できる惑星があるということです。バーナード星の寿命が太陽よりも長いことを考えると希望が持てますね。

 

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via: Space.com/ translated & text by SENPAI

 

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