Point
・嘘をつくと鼻の温度が下がり、逆に額の温度が上がることが判明し、「ピノキオ効果」と逆の結果が出た
・サーモグラフィー技術を用いて制作された嘘発見器は、80%の正確さで嘘を見破り、現在世界でもっとも高い精度を誇る
・この嘘発見器が実践で使われるようになれば、国籍を越えて容疑者の真意を確かめることが可能になる

嘘をつくと鼻がのびるピノキオ。以前の研究では、人間は嘘をつくと鼻の温度が「上がる」と考えられており、それを「ピノキオ効果」と呼んでいました。しかし最新の研究によると、どうやら温度は逆に「下がる」ようです。

グラナダ大学の研究チームは、サーモグラフィー技術を使って顔の温度変化を追跡する嘘発見器を製作し、実験を行いました。この嘘発見器は、有名なポリグラフテスト(呼吸や血圧、脈拍などを調べることで科学的に虚偽検出をする方法)よりも精度が高く、80%の正確さで嘘を見破ったとのこと。その正答率から、まさに世界で最も信頼できる嘘発見器といえます。

 

研究チームは60人の学生を対象に、この嘘発見器を用いて顔の温度変化を測定する実験を行いました。実験的グループには、まず友人や恋人、家族に電話をかけてもらい、そこで「有名人を見た」とか「交通事故を見かけた」といった嘘の会話を3.4分してもらい、その様子をサーモグラフィーで測定しました。そしてコントロールグループには、同様に知人や家族に電話をかけてもらった後、ある気分を害するような映像(自動車事故など)を見てもらい、その映像内容を相手に話してもらいました。

すると、どちらのグループもその状況に不安を感じていたのですが、嘘をついた実験的グループの学生にのみ、鼻の温度が1.2℃下がり、額の温度は1.5℃上昇するという顔の温度変化が見られたのです。そして鼻と額の温度差が大きければ大きいほど、嘘をついている確率が高いことが分かりました。そしてこの奇妙な反応は、嘘をつくときに発揮される脳の力によって引き起こされるのです。

この結果は以前、同大学の研究チームが行った実験結果とはまったく逆の結果となっています。前回の実験では、人は嘘をつくと鼻の周辺と目の内側にある眼窩筋の温度が上がるとされ、これを「ピノキオ効果」と呼んでいました。しかし、最新の研究で温度が上がるのは鼻ではなく、額であったことが新たに判明しました。

人は嘘をつくためには「島(insula)」と呼ばれる脳の報酬系を働かせなければならず、そのせいで額の温度は上昇するのだと同大学のエミリオ・ゴメスミラン博士は指摘します。そして反対に、人は何か不安を感じていると鼻の温度が下がってしまうのだとか。

研究チームはこれから嘘発見器の精度を今以上に高め、いつか空港や交番、難民キャンプなど実践の現場で使用されることを目標としています。「もし嘘発見器が現場で使われるようになれば、容疑者が嘘をついているかどうか調べられるだけでなく、国籍を越えて真意を知ることが可能になる」とミラン博士は言います。

 

嘘をつくたびに鼻が伸びていく木の人ピノキオ。嘘をつくと鼻の温度は下がるということが新たに判明しましたが、嘘つきピノキオの鼻は、現実には伸びるのではなく縮むのが正解だったようです。

 

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viadailymail . canal.ugr / translated & text by くらのすけ

 

鼻はウソをつくと「縮む」。「逆ピノキオ効果」を利用した嘘発見器が80%の正答率で世界最高の精度