連続ドラマ小説「まんぷく」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか)に出演中の呉城久美。戦後、大阪・泉大津に移り住み、萬平(長谷川博己)の思いつきで塩作りを始め、慣れないことだらけの中でも萬平のために奮闘してきた福子(安藤サクラ)を支えてきた一人、泉大津の地主と結婚したハナを演じている。

【写真を見る】第一子を身ごもった福子(安藤サクラ)はハナ(呉城久美)と家族ぐるみの付き合いを

製塩所を始めるための資金援助のみならず、萬平が憲兵に捕まった時に心を乱す福子を、敏子(松井玲奈)と共に支えてきた心優しい女学生時代からの親友・ハナを演じる呉城が、本作への出演が決まったときの気持ちや、役作り、現場の印象などを語った。

■ 衣装がたくさん用意されていた

――「まんぷく」に出演することが決まったときのお気持ちは?

びっくりしました! 事務所で聞いたんですが「えっ!?」ってなりました(笑)。「え? え? 友達!?」と、パニックになって。飛び上がって走り回って、いったん喜んだんですけど「いやいや待って。そんなはずがない」と考え直して。

そこからずっと、喜びの気持ちを静めながら過ごしてきましたが、衣装合わせのときに敏ちゃん役の松井玲奈さんに会えたこと、衣装がたくさん用意されていたことで、喜びが抑えきれなくなってしまって(笑)。めちゃくめちゃ凝った衣装があってうれしかったです。

■ 「今度学生時代の写真を見せあう約束をした」

――ご自身の役柄についての印象や、演じる上で楽しみにしていること、役のここに注目してほしいという点などはありますか?

ハナちゃんは、すごく育ちが良く、そこが演じてみて難しいです(笑)。職業もしっかりと持っていて、当時にしたらすごく先進的な人だったと思います。育ちがいいからからこその「真っすぐさ」も感じますね。

福ちゃんのことが「好き」やから、喜んで支える。塩づくりの際に必要なお金を貸すときも「全然いいよ。貸してあげるよ」っていう無償の愛情があるんです。私自身、友達に「そうしてあげられるかな?」と考えたんですけど、できないなって思いました(笑)。何回もお金を貸してほしいと頼って来られたら「いい加減にして!」と、イラッとしますよね(笑)。

ハナちゃんは、無償の愛を友達に捧げられる子なんだなって思います。お金を借りに来た福ちゃんに、最初の方は「本当に助けてあげたい! 来たらご飯も食べさせてあげたい」という気持ちで接していて、何度も来るようになってもそのことが嫌というより「大丈夫なの?」「これでうまくいくの?」と親みたいに心配をし、福ちゃんの事を思って助言し、支えていきます。

ハナちゃんと私は、結構ざっくばらんに人と付き合うところは似ているかもしれません。仲良し3人でラーメンを食べるシーンでも「福ちゃんは一番貧乏だから」とさらっと言うんです。でも全然嫌味はないし、それを普通に言える関係性を友達と築けているのはいいことですよね。私も仲のいい友達ならもうズバッと言っちゃった方が付き合いやすいと思っている節があるので、そこがちょっと似ていると思います。

印象的なのは、福ちゃんと敏ちゃんと3人のシーンです。カフェでお話するシーンでは、スタッフさんたちがセットにいない隙を見つけて、ちょっと自主練しました。サクラさんが「もう一回やろう!」と言ってくれたりして、楽しかったです。

アップルパイを食べる設定だったので「食べながらしゃべれないね」とか「アップルパイを細かく切っておく?」と研究したり、「こんなふうにお芝居しよう」と考えて演出の方に見ていただいたり。ゼリーやプリンを食べるシーンでは、サクラさんが私のゼリーをちょんと食べるところからお芝居を始めてくださったので、私もサクラさんのプリンを食べました。

さらに松井さんもそこにのっかってきて、スプーンを交錯させながらお芝居したのですが、こういうちょっとしたアイデアが楽しいシーンにつながるんだなぁと、実感しました。

――収録に参加されてみて、現場の印象は?

安藤サクラさんが「仲良くしましょうね」とはじめに声をかけてくださって、すごくうれしかったです。サクラさん、松井さんとは年齢が近いこともあって、ロケ先のホテルの部屋に3人で集まってご飯をいっしょに食べながら、ワイワイと学生時代の話で盛り上がりました。今度、学生時代の写真を見せ合う約束をしたので、家で一生懸命写真を探しているところです(笑)。

松井さんはすごく知的です。よく収録の合間に本を読んでいるので「何読んでるの~?」と聞いて邪魔しています。特別番組の撮影で二人で大阪今昔館へ行ったときには、松井さんが絵を見て語ることが館長の説明とぴったり一致していて、もはや松井さんが館長でした(笑)。

――読者の方々へのメッセージをお願いします。

きっと視聴者の皆さんも福ちゃんを応援したくなると思うし、福ちゃんだけじゃなく出てくるキャラクターどの人も憎めない作品になっています。もちろん飽きさせない展開もあって面白いですが、この人たちがいる世界を見ているだけでも楽しいと思います。福ちゃんには、子供みたいに、見ているだけで胸がいっぱいになるようなかわいさがあります。福ちゃんがピンチの時はハナちゃんが絶対助けるので、皆さん安心してください!

■ 第8週(11月19日[月]~11月24日[土])あらすじ

福子(安藤)が臨月を迎える中、元々、製塩所で働く従業員たちの世話の大変さに不満をもっていた鈴(松坂慶子)が、身重の福子の分まで働かざるを得ず、我慢の限界に。

ある日、萬平(長谷川)とのささいな口論をきっかけに鈴は家を飛び出してしまう。福子と萬平が鈴を探している中、戦後の焼け野原で食う物に困り、栄養失調で倒れている人々が萬平の目に留まる。それを見た萬平は、困っている人々を救うある新規事業を思いつく。(ザテレビジョン

連続ドラマ小説「まんぷく」(NHK総合ほか)に出演中の呉城久美