2020年の東京オリンピックパラリンピックが近づきつつある中、それと歩調をそろえる形でスポーツ文化の振興が叫ばれている。

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 スポーツ庁は第2期スポーツ基本計画でスポーツ参画人口やスポーツ市場の拡大をうたっている。目標値として、前者は週1回以上スポーツに取り組む人の割合を65%に、後者の市場規模は15兆円まで拡大すると設定した。

 しかし、現状として我々はスポーツにどれだけ取り組めているだろうか。たとえば、スポーツに取り組んでいる時間は、1日あたりどのくらいだろうか。データを見ながら振り返ってみたい。

働き方の変化がスポーツ振興のカギに

 総務省平成28年社会生活基本調査」によると、日本人がスポーツに使う時間は、1日あたり平均14分。もちろん、スポーツに日常的に取り組んでいる人とそうでない人での差は大きく、あくまで平均としての値だが、比べてみてどう感じるだろうか。

 また、世代別に見てみよう。厚生労働省平成29年 国民栄養・健康調査」では、「運動習慣(週2回以上)のある者」の割合は、男性では30代、女性では20代が最も低い。

 その理由はさまざまだろうが、容易に想像できるのは時間的な余裕のなさだろう。実際に、スポーツ庁の「スポーツの実施状況等に関する世論調査」(平成29年度)では、1年前と比べて運動・スポーツの実施頻度が減った、または増やせない人に理由を聞いたところ、「仕事や家事が忙しいから」を挙げた人が39.9%(複数回答可)で最も高かった。

 しかし、仕事の忙しさを巡る状況も変化しつつある。総実労働時間は、全国・東京とも2012年から緩やかに減少しているのだ(「東京都スポーツ推進総合計画」)。さらに、昨今の働き方改革の影響もあり、今後はより自由に使える時間が増えていくだろう。

 先の「スポーツの実施状況等に関する世論調査」の裏返しになるが、運動・スポーツの実施が増加した理由としては、「仕事が忙しくなくなったから」を挙げた者の割合が23.8%(複数回答可)で最も高い。スポーツの実施状況と時間の余裕とは、深い関係がありそうだ。

 取り組まれているスポーツの種類も見てみよう。

 この1年間で取り組んだ運動・スポーツの種類では、「ウオーキング」が57.0%と最も高く、また運動・スポーツの実施場所も「道路」を挙げた人が36.3%と一番高かった(それぞれ複数回答可)。スポーツ用の施設に赴いたり、専門的な指導を受けたりという人よりも、身近なところで取り組めるスポーツが主流となっているようだ。

 さらに、1年間あたり、運動・スポーツ実施のためにどれだけの費用をかけているかという調査では、平均額は2万5137円となった一方で、「まったく(ほとんど)お金はかけていない」という人が67.1%もいた。本格的な体作りや趣味として極めたいとなれば、ある程度の投資は必要になるだろうが、一方で負担なく手軽に取り組みたいというニーズが強いことも見て取れる。

 つまり、「労働時間の減少で生まれた余暇を使って、手軽にスポーツに取り組む」というのが、これからのトレンドになってくるといえそうだ。

プロテイン摂取も手軽に

 さて、スポーツを考える上でもうひとつ重要なのが、運動前後の栄養補給だ。スポーツを手軽に始めるのならば、こちらも手軽に取り組みたい。

 スポーツを体作りの目的にするのならば、取るべきはやはりプロテインということになるだろう。だが、スポーツジムに入るなどでなければ、本格的なプロテイン食品に手を出すのは少々ハードルが高いだろう。

 であれば、普段からなじみのある食品の延長で考えてはどうだろうか。

 10月26日、アサヒグループ食品はメディア向けに、プロテイン食品の試食会を開催した。そこでは、2種類の新しいプロテイン食品の紹介と、その開発の背景などの説明が行われた。

 まず、アサヒグループ食品が発売している「1本満足バー」。残業のお供にしているサラリーマンも多いだろう。その1本満足バーに、プロテインを配合した「1本満足バー プロテインチョコ」と「1本満足バー プロテインヨーグルト」が、ラインナップに追加された。

 本来、運動後に摂取するプロテインの量としては、20gが理想とされている。だが、本品は1本あたりの含有量を15gとした。その意図について、開発を担当したアサヒグループ食品 食品事業本部 食品マーケティング部 担当課長 大髙聡子(おおたか・さとこ)氏はこのように説明する。

「配合量はいろいろと試しましたが、チョコのおいしさをしっかりキープしながら配合できるプロテインのベストバランスとして、15gにしています」

 そして、アサヒグループ食品が展開するサプリメントブランド「ディアナチュラ」。健康や美容を志向する働き盛りの女性たちに人気の商品シリーズだ。

 そのプロテインウダーディアナチュラアクティブ」に、飲みやすいココア味が追加された。より親しみのある味にすることで、はじめてプロテイン食品に触れる人にも抵抗の少ないものとなっている。

 こちらは、30~40代の女性を主なターゲットとして開発してきたという。開発を担当したアサヒグループ食品 ベビー&ヘルスケア事業本部 ベビー&ヘルスケアマーケティング部 副主任 井戸皓大(いど・こうだい)氏は、その商品のデザインをこう説明する。

「アスリートというよりも、プロテイン商品を試してみたい、というような女性の方々などが手に取りやすいデザインにしています。また、カラダに嬉しい成分としてビタミンやミネラルなども幅広く摂取していただけるよう、プロテイン以外の成分量も配慮しています。運動をしている人だけではなく、食事の際に、また睡眠前にも取り入れてもらいたいと思います」

 プロテイン食品の抱える課題として、その味が挙げられることが多いが、今回の1本満足バープロテインシリーズ、そしてディアナチュラアクティブは、そのような印象を覆すきっかけになるかもしれない。

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