第7週「私がなんとかします!」 第42回 11月17日(土)放送より
脚本:福田 靖 
演出:安達もじり
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平
     桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功、瀬戸康史ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎

42話のあらすじ
世良(桐谷健太)が専売局に、かます20のうち8つしか売ってなかったことが判明し、福子(安藤サクラ)が闇市で証拠を掴んだ。世良に話をしに商工会の会議に行って三田村(橋爪功)と再会、萬平(長谷川博己)に3万円投資してもらうことになる。意気揚々と帰る福子は体の異変を感じて……。

愛が深すぎて細かいチェックをしてしまうひとり朝ドラ国防婦人会

トントン拍子の展開の土曜日。
電話一本で専売局に塩をいくついくらで売ったかわかる簡単なことを、たちばな塩業の人たちは世良まかせにしていたことがバカバカしく感じるうえ、福子がたちまち闇市で塩を買った業者を見つけてしまうのも単純過ぎる。
さらに、たまたま三田村と再会して、いきなり3万円投資してもらって、さらにさらに、待ちに待った妊娠まで。
良いことづくめでなんとなく白けるのは日常が面白くない人間のねたみであろうか。

思い返せば、4話で「もう福ちゃんにはうれしいことばかり」というナレーション(芦田愛菜)があった。
笑う門には福来たるで、福子がニコニコしていれば悪いこともいつの間にか消え去ってくれるという寓話的なドラマ「まんぷく」。

福子の願いは、ただ「正しく」人のためになること。
だから、三田村の対応に焦った世良が自分もお金を投資すると言っても無視。お金を受け取ったら闇市で売ったことになると正論を言って、最初に専売局で売った3000円からくすねた1500円だけ返してもらう。
とても正しいのだけど、なんかなんかな……(「べっぴんさん再放送中なので)。

人のためになることを正しく行いたいという願いはとても立派だが、ハナの家から借金を重ね、自分でもっとちゃんとしなさいと言われたら今度は三田村に投資してもらう福子には感動がない。
なんでもかんでもうまくいった「まれ」も相当批判されたとはいえ、主人公が主体だったからまだましだ。福子は萬平ありきで自分が全然なく感情移入し辛い。「ごちそうさん」や「べっぴんさん」のように生活に役立つ特技もない(英語はそんなに役立ってない)。
ニコニコし続け、お金を溜め込んでいた「わろてんか」に近いといえば近い。

この展開を無条件に受け入れられるのはおそらく、思い通りのリタイアをして暮らしぶりに悩まずに済む人か、長谷川博己や萬平のようなキャラが好きで彼を応援したいと思う人、キャラを使って同人誌的に自由にマイワールドを展開できる人などだろう。

舐めてるの?
「世良さんがそんなこと……」と鈴(松坂慶子)と福子がわいわい騒いでいる時、萬平は福子の浮気について頭がいっぱいになって「問題が多すぎる」と嘆く。
噛み合わない面白さを描いた場面。

夜、寝ながら、萬平と福子が語り合うところも噛み合わないコントふうであった。
福子「あの人(世良)のこときらいになれないんです」
萬平「僕もだよ でも」
福子「でも」
萬平「裏切られてもきらいになれないというのは辛い」
福子「そうですね」
萬平「そうですねじゃない」(へんな顔する)

従業員たちが勝手に福子の浮気疑惑で騒ぐシーンは、また昭和のコントみたいな音楽がかかった。つまり、ここは本気じゃないですよー 笑うところですよー というガイドなのだろうけれど、この曲が朝ドラをコント番組にしてしまう。
笑いは大事だが、笑いのあるドラマと、芝居で笑わせるコントは別。朝ドラはあくまで質の良い笑いもあるドラマであってほしい。

かます12個分はどこにいったの。あの人(世良)が家で舐めてるの?」
鈴のこの台詞は可笑しかった。

福子と萬平が親になる8週以降の仕切り直しに期待する。
(イラストと文/木俣冬)

連続テレビ小説まんぷく
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

朝夕、本放送も再放送も オールBK制作朝ドラ
べっぴんさん」 BS プレミアムで月〜土、朝7時15分から再放送中。 
まんぷく」と同じく安達もじり演出週。紀夫くんが帰って来た! 再会シーンは名場面。
42話


あさが来た」 月〜金 総合夕方4時20分〜2話ずつ再放送
相撲でおやすみ

イラストと文/木俣冬