風力発電というと丘陵に立つものというイメージがあるが、英国ランカスター大学の学生がデザインしたタービン「O-wind」は、なんと高層ビルのバルコニーなどに吊り下げるタイプ。

都会の強風からエネルギーを作り出すためのもので、発想とデザインが斬新として2018年ジェームスダイソン賞に輝いた。

・あらゆる方向からの風に対応

風力発電はブレードが風を受けて回転するという風車のようなものが一般的だが、O-windは遠目にみると紙風船よう。これが風量発電装置?と首をひねりたくなるが、もちろんこのデザインには意味がある。

都会の風はビルなど建物の存在により、必ずしも一定の方向に吹くわけではない。あらゆる方向からの風をとらえるために球形に近い形にしたのだという。

そして中はベルヌーイの定理を用いた構造になっていて、どの方向から風を受けても中のタービンは一定の方向に回転する。タービンが回って発電するという仕組みは従来タイプと同じだ。

・各家庭で発電?

O-windは直径25センチほどと一般家庭でも使えるサイズ。開発チームは、発電した電気を家庭で消費したり、あるいはグリッドにつなげて供給したりすることも可能としていて、自然エネルギーのさらなる活用につなげられることを願っている。

発電量などは風次第ではあるだろうが、ソーラーパネルなどと組み合わせることで家庭で消費する電気は家庭で賄う、という時代がやってくるのかもしれない。

James Dyson Awards

都会で風力発電! 球形の小型タービン「O-wind」がジェームスダイソン賞を受賞