東京地検特捜部は11月19日、報酬を約50億円低く申告したとして、カルロス・ゴーン氏を金融商品取引法違反容疑で逮捕した。過去の株主総会ゴーン氏は報酬の高さを問題視され、「世界の企業と比べて」と反論していたという。過少申告の理由は不明だが、一部ではそうした指摘を気にしていたとの見方もある。実際、競合と比べて報酬はどう違ったのか。

トヨタ社長の約5倍も

有価証券報告書などによると、日産自動車、仏ルノー三菱自動車の3社で会長を務めるゴーン氏は、2017年度に日産から7億3500万円、三菱自動車から2億2700万円、ルノーから740万ユーロ(約9億5000万円)の報酬を受け、総額は約19億1200万円にのぼった。

これは国内では最も多い報酬額といえる。トヨタ自動車のディディエ・ルロア副社長が10億2600万円で、日産の西川広人社長が4億9900万円、トヨタの豊田章男社長が3億8000万円と続く。

スズキの鈴木修会長は2億2000万円、ホンダの八郷隆弘社長は1億5500万円、三菱自の益子修社長は1億4100万円、スバルの吉永泰之会長は1億3300万円、マツダの小飼雅道会長は1億1700万円となっている。

●海外は10億円以上も

一方、朝日新聞(2014年6月25日付)によると、海外のライバルは、フィアットCEOが31億2000万円、フォードCEOが23億6000万円、フォルクスワーゲンCEOが21億3000万円、ゼネラル・モーターズCEOが14億7000万円、ダイムラーCEOが11億5000万円となっている。(ゼネラル・モーターズは2014年12月期の予定額、他は2013年12月期)

時期に違いがあるが、世界のライバルたちとの比較では、ゴーン氏の「世界の企業と比べて」という反論は的外れとは言いがたいのかもしれない。上記と同様の2014年ごろでみると、2014年3月期に日産がゴーン氏に支払った報酬は9億9500万円だった。

日経新聞11月19日に伝えたところによると、2015年3月期までの5年間に、実際にはゴーン氏の報酬は計約99億9800万円だったのに、計約49億8700万円だったとの虚偽の記載をした有価証券報告書を、関東財務局に提出した疑いがあるという。そうすると、2014年3月期の「9億9500万円」という数字も真実ではない可能性がある。

ゴーン氏の写真は、日産自動車ニュースルームから

(弁護士ドットコムニュース)

ゴーン氏の高額報酬、「過少申告」でも国内ライバルのなか突出