たこ焼き、刺身、タコの唐揚げなど食卓にも広く浸透しており、スーパーでも気軽に買えるタコ。実は日本は世界一のタコ消費国だということを知っていましたか?今回は世界的にも珍しい、日本とタコの食文化についてご紹介します。


外国におけるタコと食文化


タコは高たんぱくで低カロリー、またアミノ酸の一種であるタウリンが含まれており、骨や皮を処分することなく丸ごと食べられる便利な食材として、日本では古くからタコを食べる文化が根付いていますが、一部の外国では宗教上の理由から鱗のない魚介類は汚らわしいものとされ、「デビルフィッシュ」と呼ばれ忌み嫌われてきました。

それゆえ、タコを食用と考える文化を持つ国は多くありません。アジア圏でも日本以外では韓国やタイで食べられている程度で、収穫量が世界一の中国でも消費量は多くないのです。

ヨーロッパではイタリアスペインギリシャや南フランスなどの一部で食べられる以外は、食材として目にすることはほとんどありません。近年では健康志向の影響から中国やアメリカでも消費が増えつつあるそうですが、まだまだマイナーな食材です。


日本とタコの深い関係


日本では今から2000年以上前の弥生時代の遺跡からタコ壷と思われる土器も出土しており、その頃からタコを食す文化が根付いていたそうです。

日本国内では毎年約3万7千トン前後のタコが収穫されており、加えて西アフリカモーリタニアモロッコ、中国などから輸入しています。日本のタコ年間消費量は世界全体の約60%を占めるほど、タコを愛する国なのです。スーパーでも気軽に買えるタコは日本の食卓ではお馴染みの食材で、タコを使った料理やレシピが日本ほど充実している国は他にありません。子供の頃から慣れ親しんでいるタコですが、世界的にはかなり珍しい食材を好んで食べているのですね。


タコが消費量世界一ならあの食べ物は?


タコの消費量が世界一の日本ですが、同じ軟体動物のイカはどうなのでしょうか。

イカは世界での年間漁獲量が300万トンを超え、そのうち日本で消費されるのは約100万トン(30%)にのぼります。実はこの消費量も世界一なのですが、イカはスペインイタリアポルトガルギリシャなどでもおなじみの魚介類として親しまれており、タコに比べるとより多くの国で食材として認知されているのです。日本ではどちらも同等のものとして扱われる事が多いので、この差は日本人にとっては少し不思議ですね。




周りを海に囲まれた日本では古くから海の幸を食す文化が栄えてきました。そんな日本人が当たり前のように食べているタコは他の国ではほどんど食べられない不思議食材なのです。

海外で時には忌み嫌われるタコをここまで味わい深く追求した日本人の食への探求心は、世界に誇れるものがあるといっても過言ではないでしょう。


参考
[環境省]
[太陽商事株式会社]
[sankei.com]
[GLOBAL NOTE®]
[Goshoku]
[オリーブオイルをひとまわし]
[パナフーズ株式会社]

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