BSフジで放送中の警察ドラマ「警視庁捜査資料管理室(仮)」(毎週月曜夜11:00-11:30)の主人公・明石幸男を演じる瀧川英次にインタビューを行った。

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ドラマ「警視庁捜査資料管理室(仮)」は、「踊る大捜査線」(1997年ほか、フジテレビ系)シリーズを手掛けた監督・本広克行と高井一郎プロデューサーが再びタッグを組んだことで、「踊る」ファンの間でも話題を呼んでいる作品だ。

警視庁勝どき署に仮設置された「警視庁捜査資料管理室(仮)」に着任した明石幸男(瀧川英次)。警視庁技術専門官として、過去の捜査資料をデータ入力するのが彼の主な仕事だ。だが幼い頃から自分だけの世界で妄想することが好きだった明石は、解決済み事件の資料の山に妄想癖が再燃。すでに捜査が終了している事件を勝手に推理し、意外な真相(!?)を導き出していく。

明石を演じる瀧川にドラマの見どころや裏話を聞いた。

■ 濃いドラマに仕上がってるなと感じました

――まず、映画コメンテーターとしての立場から、この作品をご紹介ください。

そもそもアームチェア・ディテクティブ、安楽椅子探偵というジャンルの作品ってそんなに数多くないじゃないですか。その理由はいろいろあると思うんですけど、演じる方も大変だし、絵が代わり映えしないことが要因だと思うんです。まずそれを「やろうぜ!」って言い出したことが、おかしいところですね(笑)。そもそも安楽椅子探偵っていう難しいテーマありきで始まっているので、台本を書いている山内直哉さんの脚本力も重要になってくる作品だと思います。

――ツイッターをはじめ、ファンの反応を見ていかがですか?

ちゃんと乗っかってきてくれているなという印象です。僕も最初のオンエアの仕上がりを見て、情報量のあまりの多さに視聴者が軽くパニックになっているんじゃないかと思っていたら、やっぱりみんなそうなっていて。何回も見直して、だんだん全貌が分かってきてというふうに楽しんでくれるんだなって思いました。一回見るだけじゃ、もう無理だろうっていう情報量がすごい詰め込まれていて、濃いドラマに仕上がってるなと感じました。

――その情報量をさばく大変さはいかがですか?

僕が現場で芝居をしている以上に、編集とかテロップ、カメラワークなどで情報を足したり、整理したりして、分かりやすくしてくれていて。もちろん現場ではベストを尽くすんですけど、仕上がりを見て、改めて気付くことも多いです。「なるほど、すごく分かりやすくなってる!」って。

やっぱり現場で100点を目指しても、仕上がるまでにいろいろな人の力を借りて、120点、150点になっていくんだなとしみじみと感じました。僕の知らないところで、たくさんの人が働いてるなぁって感じます。

■ “初めてさん”たちが、各セクションに大集合

――ドラマをご覧になって、感じたことを教えてください。

まず、渡辺真理さんのナレーションの稼働の多さ(笑)。あのナレーションの部分は台本にはないんです。でもこのナレーションがあることで、すごく分かりやすくなっている。

後半になると、ナレーション自体がツッコミになっていくんですよね。そのフリも効いていて、なるほどなぁとびっくりしました。こういうふうに物語を分かりやすくしてもらっていて、すごくありがたく、新鮮でした。

――ドラマにはテロップが多く登場します。この作風をどう思いますか?

一応説明はされていたんですけど、全然ピンとこなかった。「どういうこと? テロップ? バラエティーじゃないんだから」って。

でも、仕上がってみたらあんな感じで。ドラマでは見たことがない量の説明とテロップだなとは思うけど。多分この作品に合わせるような試行錯誤があったんだろうなとも思いました。すごくありがとうっていう気持ちです。

監督の山口(淳太)さんも、脚本の山内さんも、編集チーフの坪田早紀子さんも、連続ドラマを担当するのが初めてで。僕も連続ドラマ初主演で、“初めてさん”たちが、割と各セクションに大集合しているんです。だから並々ならぬ情熱と愛情で、なんとか面白くしようと思っている人がすごく多い現場だったんだなとオンエアを見て改めて思いました。

――出演のオファーは、総監督の本広克行さんの家のパーティーに呼ばれ、サプライズのような形で伝えられたとうかがいました。

サプライズほど気の利いた会ではなくて。「実は…なんと…!」みたいな盛り上げもなく。呼ばれて行ったらそこからすぐ打ち合わせが始まった感じでした。打ち合わせの前に、そもそも概要知らないしなぁと思って。

ある程度スタッフ間でコンセンサスが取れているから、「この九官鳥のくだりさぁ」とかいう話を振られるんですけど、「あの、九官鳥ってなんですか?」みたいな。

だから全然その日の鍋の味も覚えてないです。すごくおいしい鍋を作ってくださっていたはずなんですけど。自分の人生でこんなことが起こると思っていなかったので。僕はホームパーティーとだけ聞いていて、角煮作って持って行っただけなので(笑)。だからちょっと信じられない一日でした。

――台本は瀧川さんの当て書きだったのですか?

当て書きじゃないんです。僕が年末にその鍋会に行った時点で、すでに4話くらいまでできていました。でもその後、会って話して、なんとなく話し方や声を参考にしてくれたと思います。

クランクインする何カ月も前、まだ台本執筆中の頃に、脚本の山内さんと僕の2人でカラオケボックスに行って、できている台本をひたすら読んで、山内さんに聞かせる会があったんです。主演俳優ってそんなことする必要ないじゃないですか、一般的には。脚本家と2人きりで、今後の台本作成のために、目の前で脚本を読む会なんて有りえないと思うんですけど、でもそういうノリだったんですよね。

主演俳優だからって、現場に来てやってくれればいいから、みたいな扱いじゃなくて。脚本の打ち合わせとか、世界観のルール決めとか、キャスティングで誰がいいか候補を出すとか、そういう会議にも呼んでくれたんで、スタッフの一員みたいな感じで参加していました。それがすごく良かったです。

■ 最後にうれしい回が待っています!

――瀧川さんご自身の性格が明石に反映されたところはありますか?

このキャラクターに関しては、あんな几帳面なことは、僕自身はしないし、ある意味すごく自分自身と離れたキャラクターなので、逆にやりやすかったです。僕がイメージする「几帳面な人」を演じさせていただいたので、普段の自分からは割と遠い存在です。

せりふは僕から提案することも、ちょっとありました。「ここで、このせりふ入った方が分かりやすいんじゃないか?」っていうので足されたものもありますし、現場で総監督の本広さんや監督の山口さんが足してくださったせりふもあります。割とフレキシブルに撮影が進んでいきました。

――第5話(10月29日)の放送で、名言がたくさん画面に出ましたが、その中に瀧川さんの選んだ言葉はありますか?

あんなスピードで出されても、誰も読めないですよね(笑)。撮られているときは、あんな華やかな数秒になると思ってなかったので。何が書いてあったのか、僕も読み切れていないです。でも、「踊る大捜査線」の中のせりふや名言も入っていたようで、そういうのを見つけている視聴者の方もいて、「みんなすごいなぁ、一時停止してるんだろうなぁ」と思いました。どんだけ好きなんだよと思って、それがすごくうれしかったです。

ああいうテロップとか編集を見るたびに、編集の坪田さんがどれだけはしゃいで、どれだけ情熱を込めたかが分かるじゃないですか。あの数秒にこういう演出を打ち込んでるって。「坪田働いてるねー!」って思いました。

――「踊る大捜査線」とリンクする部分を、「踊る」ファンはどうしても語ると思いますが、彼らへのメッセージはありますか?

「踊る」ファンの方も、それ以外も楽しめるようには狙っているんです。ただ山口監督自身「踊る」の大ファンで、そのファンからすると、とても浮かれるような展開が満載です。全11話あるんですが、実を言うと、元々完成していた最終回の脚本をボツにしているんです。撮影期間中に、これだったらこういう話が撮れるんじゃないかって、全部書き直した最終回が用意されているんです。これが「踊る」ファンの方にとってはうれしかろうっていう感じの第11話が待っています。

その前の第9・10話にもいろんなサプライズは起きるんですけど、最後まできっちり見ていただけると、とてもカタルシスがあるような、うれしい回が待っていますので、ぜひ最後までついてきていただけるとうれしいです!(ザテレビジョン

ドラマ「警視庁捜査資料管理室(仮)」(BSフジ)で主演を務める瀧川英次