Point
・恒星の多くが連星系を作っていることから、太陽もかつては連星系だった可能性がある
・対となっていた双子星を、ガイアのデータを使って探索した結果、太陽にそっくりな星を発見
・惑星を持っているとすれば、生命の可能性も考えられる

太陽はかつて、「双子星」だったかもしれません。恒星の85%が連星系であるということがわかっており、太陽も生まれた当初は兄弟がいた可能性が高いと考えられるからです。

新たな研究で発見された、太陽の双子星と考えられる恒星は、太陽から184光年の距離にあるHD 186302です。この恒星、ただの兄弟ではなく、一卵性双生児とでも言えるほど太陽に似ていることがわかりました。研究は、“Astronomy & Astrophysics”に掲載されています。

The AMBRE project: searching for the closest solar siblings
https://www.aanda.org/articles/aa/full_html/2018/11/aa34285-18/aa34285-18.html

多くの恒星は集団となって一斉に生まれます。その数は数千にもおよぶことがあります。星の生まれる場所を「星のゆりかご」と言い、ガスとチリでできた巨大な雲です。太陽もこの星のゆりかごで、45億7千万年前に生まれたと考えられています。多くの星はそこで連星となるのですが、中には三重、四重の連星になるものもあります。太陽と同種の恒星は50%以上が連星です。

太陽のようにペアを作っていない恒星というのは実は少数派なのです。しかし、過去には二重連星であったことを示唆する証拠もあります。最近の研究で、全てではないですが、ほとんどの星が生まれたときに連星になることが示されているのです。

Photo credit: Euclid vanderKroew on Visualhunt / CC BY-NC-SA

もし、その連星と分かれることがなければ、地球は2つの太陽を持っていた可能性があります。しかし、そうはなっていません。おそらく、生き別れになった太陽の双子がどこかにあるはずなのです。しかし、見つけるのは簡単ではありません。天の川銀河には非常に多くの星があり、双子星の拡散した可能性のある範囲は広いからです。

現在までに、太陽の双子候補として上がっていた星は、数個しかありませんでした。“Instituto de Astrofísica e Ciências do Espaço”の研究者たちの探索は、以前の観測よりもずっと良い観測機器を使って行なわれました。ガイア計画によるデータです。それによって、多くのサンプルを調べ、より多くの元素について構成成分を調べられるとともに、より正確な天文学上のデータを得ることができました。

その結果、HD 186302を発見しました。この星は単に兄弟星というだけにはとどまりません。驚くほど太陽に似ているのです。太陽と同じG型主系列星で、大きさの違いは極めて小さく、表面温度と輝度はほぼ同じです。構成成分も驚くほど似ており、年齢も45億歳です。2014年に兄弟星として見つかった、F型のHD162826よりもそっくりです。

太陽がどこで生まれて、どのように成長してきたのかは分かっていません。そのため、兄弟星の発見は大事な情報をもたらしてくれます。また、太陽と同じ生い立ちや性質をもっていると言うことは、生命を育んでいる可能性もぐっと高くなっていると言えます。もし、この生き別れの双子が、ハビタブルゾーンに岩石タイプの惑星を持っているとすれば、そして地球から生命を含んだ隕石を受け取っていたとすれば、生命が存在する可能性は、他のどんな系外惑星よりも高いといえます。

 

現在、HD 186032に系外惑星が存在しないか、調査の計画が進んでいます。太陽の双子星に地球の双子惑星があったとすれば、双子人類が生活して文明を築いているかもしれません。そう考えるとワクワクしてきますね。

 

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via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

 

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