Credit: N. Brosch / Tel Aviv University
Point
・70cm望遠鏡に最新CCDを取り付けて撮影した複数の画像を組み合わせることで「オタマジャクシ銀河」を発見
・この「オタマジャクシ銀河」は、他の2つの円盤銀河とコンパクト銀河群を作っている
・矮小銀河の星が他の銀河による重力で引きつけられ、オタマジャクシの頭を作っている

イスラエルとアメリカ、そしてロシア天文学者による研究チームが、巨大なオタマジャクシのような尾をもつ、崩壊した銀河を特定しました。それは楕円形の頭部と真っ直ぐな長いしっぽを持ち、地球から2億光年にある銀河です。なんと天の川銀河の10倍の、百万光年もの長さがあります。さらにしっぽの部分だけでも50万光年あり、並外れた長さです。

研究は、“Monthly Notices of the Royal Astronomical Society”で発表されています。研究を率いたのは、テルアビブ大学にある“The Florence and George Wise Observatory”のノア・ブロッシュ博士です。

Hickson Compact Group 98: a complex merging group with a giant tidal tail and a humongous envelope
https://academic.oup.com/mnras/article/482/2/2284/5124394

銀河が崩壊して消える時、その銀河に含まれる星は、より大きな銀河に統合されるか、あるいは銀河間の宇宙へと放出されます。

研究によると、この巨大な「オタマジャクシ」は小さな矮小銀河の崩壊によってできたものです。2つの銀河の重力がこの脆弱な銀河に含まれる星をひきつけ、オタマジャクシの頭になりました。そして元の銀河の付近を漂っている星たちが、このしっぽを形作っています。

Credit: N. Brosch / Tel Aviv University

この巨大オタマジャクシには、4万光年の大きさの通常の円盤銀河が2つ近接しています。これらすべての銀河をあわせた物はコンパクト銀河群と呼ばれます。オタマジャクシ銀河を含むグループは、HCG098で、数十億年もすると1つの銀河として融合すると考えられています。

こういったコンパクトな銀河群が初めて発見されたのは1982年。コンパクト銀河群は、巨大な銀河クラスターの外れに存在するため、銀河間の相互作用を観察するのに適しています。これによって研究者は、どのように物質が銀河間で移動し、どのように新しく増加した物質が銀河の発展や成長を変化させるかについての研究が進むと考えています。

今回の研究のために集められた画像は82枚にものぼります。それぞれの画像には幅広くフィルターがかけられて、赤色光が強調されると同時に、無関係な光の影響が実質上取り除かれています。使用された望遠鏡は比較的小さいもので、アルデビブとカリフォルニアに設置された70cm望遠鏡に、最新のCCDカメラが取り付けられたものです。

 

宇宙を泳ぐ巨大なオタマジャクシ。銀河が銀河を飲み込み進化する様の一端を垣間見せてくれているようです。CCDカメラの高性能化と、画像解析技術によるこういった新発見は、どんどん増えてくると期待しています。

 

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via: Phys.org/ translated & text by SENPAI

 

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