村上虹郎主演の映画「銃」が、11月17日より全国で公開中。

日南響子はトースト女について「“強い弱さ”というか、コンプレックスとはまた違う、そういう部分を持った繊細な人だったりするのかな」と印象を語った

河原で思いがけず拾った拳銃に支配され、徐々に狂気が満ちていく主人公トオルを村上が演じる他、心の中に何らかの問題を抱えている女子大学生・ヨシカワユウコを広瀬アリスが、ただセックスするためだけの女として扱われるという魅惑的でどこか謎めいたトースト女を日南響子が、トオルを追い詰める刑事をリリー・フランキーが演じている。

日南へのインタビュー後編では、実は「気に入っている」というトースト女についてトークを展開。さらに、その役を演じる上でまさかの告白も飛び出した。

【前編「トースト女はキーマン」から続く】

トースト女は「気に入っている」

――トースト女という役名はインパクトがありますね。

私、この名前ちょっと気に入っているんですよ。名前になってない感じが好きです(笑)ある意味謎の人というか、どこを探しても“トースト女”なんて名前はないだろうから、いいなぁと思って。

オーディションをして出演が決まり、「トースト女役です」って言われた時に、「え? 格好良くない?」って思いました(笑)

内容を聞いたら「あぁ、そういう感じか」って思いましたが、そこはシビアな部分もあるし、監督がわざわざ時間を作ってお話をしてくださったんです。でも、名前は気に入っています(笑)

――日南さんから見たトースト女はどんな女性ですか?

こういう遊びをしているくらいだから、結構自由人で、簡単に心が揺れ動くような、もっとラフな感じで人と付き合っていくのかなって思っていたんですね。

でも、最後にトオルが(部屋に)入ってきて出ていくまでの間に、震えていたり、「あれ? おかしいぞ?」ってざわざわしているところを見ていると、やっぱりどこかしらに“強い弱さ”というか、コンプレックスとはまた違う、そういう部分を持った繊細な人だったりするのかなって、演じながら思いました。

ただ、遊んでいるのとは違って、自分の中の何か目的があってそういうふうになったのかもなぁって考えています。

■ 演じていて新鮮だった

――朝、トオルより先に起床して服を畳み、朝食を作っているところは、すてきな女性だなって思いました。

優しいですよね。「そこ丁寧なんだ」みたいなことは思いました(笑)

でも、それがトオルに「何だよ!」みたいに思われてしまうのは、男性の心理というか、「こっちはたまたまそういう感じで来ただけなのに」という男性に対して、“そこまでするのか”くらいのことをやっているみたいな(笑)

そういうところはちょっとかわいいなって思いました。

――トースト女と日南さんで共通する部分はありますか?

友達が家に上がれば、潔癖とかではなく普通に靴を並べたり、上着をそこら辺に置いていたらかけたり畳んだりはすると思います。コーヒーを入れたりもするし、「何が飲みたい」と言われなくてもとりあえず出すとか。そういうことはするけど、トースト女と心理は違うんでしょうね。

普段演じる役って、どこかしら共通点があるなって思ったりするんですけど、今回はあまりなく…不思議でした。だから、演じていて新鮮だったのかなとも思ったりします。それが、評価をしていただいたということも含めて、いろんな可能性があるのかなって感じたりもしますね。

■ “トースト女”、実は「パンが駄目」

――ちなみに、日南さんは朝食はトースト派ですか?

私、パンは食べられないんですよ(笑)

モチモチしたパンなら食べられるんですけど、食パンとかは幼稚園の頃から食べてないかもしれないですね。サンドイッチもギリギリ食べられます。というくらいパンが駄目で。

友達にパンが大好きな女の子がいるんですね。その子もモデルで、一時期痩せなきゃいけない時にパンをやめていたことがあって、好きなのに抑え過ぎてリバウンドで10kgくらい太ったらしいんです。

そこで「そんなにおいしいの?」みたいな話になり、「いろんなパン屋さんを教えてあげる」ってお店を回ってもらっていろいろ食べてみたんですけど、結局一口食べてむせそうになって。それくらい実はパンが食べられないんです。

ブログにも昔から書いていました。タマネギとパンが食べられないって。だから、(ブログを見ていた人は)トースト女役と聞いて「パン食べられないのに?」って思ったでしょうね(笑)

大人になったら食べられるようになるかと思っていたら、意外とそうでもなかったです。ネギは食べられるようになりました。これも小さい頃は駄目だったんですけどね。

■ 連続しての映画公開「不思議

――2019年2月8日(金)から公開の映画「21世紀の女の子」にも出演されていますね。

「21世紀の女の子」も街で声を掛けられた男の子とちょっと寝ちゃうんですよ。そういう役が増えたかな(笑)

トースト女はトオルに対して母性があるじゃないですか。でも、「21世紀の女の子」の役はもう逆に子供なんですよね。小さい子がおもちゃを集めて「もう飽きていらない!」みたいなことをしちゃうような女の子。真逆と言えば真逆ですよね。

それはそれで面白いかなとは思っています。同じ男の人と遊ぶみたいな役でも全然違うなって。いろいろな表現があるなって思いましたね。

――音楽活動もされていますが、女優としての活動も充実していますね。

そうですね。こんなふうに続けて公開って初めてなので、それも不思議な感じです。しばらく女優業を休んでいたのもあるので、正直どちらの作品も撮った時に自信は全くなく、とりあえず他の人たちの邪魔をしないよう、足を引っ張らずにちゃんとやらないとっていう気持ちが強かったです。「演技ってどうやるんだっけ?」みたいなところからスタートでした(笑)

――最後に読者へメッセージをお願いします。

モノクロで描かれており、映像がすごくきれいなんです。トースト女の部屋に置いてある物も色がすごくきれいだったので、本当はカラーで見てほしいなっていう部分もあるんですけど、一個一個置いてあるものが面白かったりもするんですね。

他にもそういうシーンがありますが、今の映画界はモノクロで全編を描くというのはなかなかないと思うので、そういうのも含めてものすごく美しく描かれているなって思います。

その分、狂気も感じられる部分があったりとか、本当にすてきな作品になっているので、ぜひぜひ見ていただきたいと思います。(ザテレビジョン

日南響子はモノクロで描かれた映画「銃」について「ものすごく美しく描かれているなって思います」とアピール