演出・脚本:福田雄一日本テレビ系「今日から俺は!!」日曜22:30〜)第6話。

冒頭からゲスト山田孝之(風俗店員)とムロツヨシ(椋木先生)が登場し、同じ福田監督の「勇者ヨシヒコ」(テレビ東京系ドラマ)を思わせる絡みがタップリ。1話通して話の筋から大きく脱線するやりとりが多く、福田監督色が強い回となった。ファン垂涎というやつだ。ファンサービス回とも言える。

だが、なんだか微妙にとっちらかっていた。その要因は、キャラの行動原理がほとんどギャグで展開されていたこと。対立関係が出来ているようで、そうでもなかったことな気がする。

動機がギャグだと展開が飲み込みづらい
例えば、冒頭の風俗店の待合室のシーン。椋木先生は三橋父(吉田鋼太郎)を「ソープランドに行ったことを奥さんや子どもに知られたら?」と脅す。どう考えてもお互い様だし、なんなら三橋父は間違えて入っただけなのだから、不利になるのは椋木先生のハズだ。なのに、椋木先生が心的優位に立ち、息子である三橋(賀来賢人)をシモベになるよう持ちかける。後に三橋父は、「おかしいおかしい。聖職者である先生はソープランドに行って良いのか?脅される筋合いはなかったんだ」と振り返っており、“三橋父がバカだった”というギャグとして消化している。

三橋の行動原理もギャグだった。三橋は、父から「大きな見返りがある」として、椋木先生のシモベと化す。それはそれは過剰なシモベで、おんぶして運んだり、神輿に乗せたり、代わりに殴られたりしている。これはさぞかし大きな見返りがあるのかと思ったら、その内容は、「松田聖子の写真集」のみだった。

その時代の松田聖子はすごかった!というフックと、しょうもない理由でシモベになったというギャグなのだろうが、さすがにあのプライドの高い三橋が写真集ぐらいでシモベになるとは思えない。三橋なら他にも手に入れる策をいくらでも思いつくはずだ。三橋は「(シモベを)やりはじめたら楽しくなっちまった。逆にバカにしてるみたいで」と理由付けしているが、ちょっと納得しづらい。ちょっと説明クサイ。

良くも悪くもファンサービス
話自体は高いテンションで展開されるし、なかなか見られない三橋と椋木先生のやりとりがあったので、これはこれで新鮮だったりもするのだが、このおかげで坂本(じろう)と剛田(勝矢)で展開される本軸が、よくわからない感じになってしまった。

今話の本当の軸は、坂本だ。偶然助けてしまった元ヤクザの剛田を従えたことで、性格が180度急変。虎の威を借る狐、普段虐げられている弱い人間に権力を与えたら?という超わかりやすいコメディ展開だ。坂本はどこまでもクズに成り下がって行ったし、剛田はどこまでも間違った仁義を通すバカヤクザだった。

だが、そこにふわっとした関係性の椋木・三橋組が対比のように存在する。そして、その関係が坂本・剛田組に交わらずに、徐々にフェードアウトして行く。全く質の違う外枠だけ似たコメディが同時に展開されていっただけに見えてしまい、微妙にわかりづらい。生徒たちが次々に坊主にされ、ついには女生徒まで頭を刈られてしまうという三橋・伊藤(伊藤健太郎)がブチ切れるための明確なトリガーも、そんなには機能していないように見えた。最後の三橋と伊藤のアクションは、メチャクチャカッコよかったが、もっともっとカッコよく見えてもよかった。

動機や話の展開がギャグでも、それを上手く飲み込めれば全く気にならない。しかし、ちょっとでも喉元で引っかかってしまうと、一気に置いて行かれてしまう。第6話は、良い意味で悪い意味でファンサービス回となった。

最悪の人間性のムロツヨシなのに……
それにしても、ソープランドに通い、それを誤魔化し、生徒の父親を脅迫、さらにはその生徒をシモベにして校内でやりたい放題。椋木先生はこんな最悪な人間性なのに、嫌なヤツに見えないのだから、ムロツヨシってすごいそういえば、4話のときにみんな大好き今井(太賀)を騙した明美(若月佑美)が視聴者から嫌われなかったのもすごい

今夜放送の第7話は、原作ファンお待ちかねの今井が軟禁される「廃ビル」回だ。告知の時点で、「伝説のエピソード解禁」という超振りかぶった煽り文句を付けられていたが、今井ならなんとかしてくれそう。
(沢野奈津夫)

今日から俺は!!
日曜:22:30
23:25(55分) 日テレ系
キャスト:賀来賢人、伊藤健太郎清野菜名橋本環奈、太賀、矢本悠馬、鈴木伸之、ムロツヨシなど
脚本:福田雄一
演出:福田雄一、鈴木勇馬
主題歌:今日俺バンド「男の勲章」

原作4巻