京都南座では、11月26日(月)朝9時、京の冬の風物詩である年中行事「まねき上げ」が行われた。11月から新装開場し、2か月連続となるのは22年振り。これに際し、すべての看板を新調、いち早く師走のスタートを切った。まねき上げは、毎年年末に吉例顔見世興行に際し、出演する歌舞伎役者・お囃子の名前、劇場からの挨拶等が書かれた「まねき看板」が飾られる。

【画像】足場を作り、慎重に最後の一枚を持ち上げる

この日、寒空の中にも拘わらず、歌舞伎ファンや通行人が集まり、最後の一枚・歌舞伎界の大御所「片岡仁左衛門」の名が書かれた看板を、南座正面に掲げるのを見守った。劇場正面には、役者まねき48枚・邦楽連中まねき4枚・口上まねき1枚・興行まねき1枚の総数54枚のまねき看板がズラリと並ぶ。

そして、塩でまねきを清める「塩まきの儀」では、劇場の従業員と、集まった一般客も参加。「3・2・1!」の合図と共に、一斉に南座に向かって塩をまき、12月興行の成功と無事、また、来年・亥年の健康と幸運を祈った。

まねき看板は、5年連続で書家の井上優(いのうえまさる)さんが務める。勘亭流の書体は、「劇場が隅々まで大入りになるように」と祈りを込め、太字で隙間がなく、内へ丸く折り曲げるように書かれている。

当行事に、参加した太田さん(京都市在住)は、「私は無声映画(サイレント映画)が好きで、その源流でもある歌舞伎にも興味があり、知人の井上さんに教えてもらってきました。良かったです」と話す。

まねき看板は、千穐楽を迎える12月26日まで見ることができる。(関西ウォーカー・森田直子)

まねき上げが行われた南座正面