帝国データバンクは26日、パチンコホール経営業者の経営実態調査の結果を発表した。パチンコ・パチスロ業界においては、依存症の問題が提起されて以来進む規制強化による、遊技者離れの可能性が指摘されている。それを裏付けるように売上高合計の減少や1割を切る増収企業、増加が見込まれる倒産件数などの厳しい実態が明らかになった。

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 パチンコホールの経営業者2,106社を対象にした今回の調査によると、2013年度以降、売上高合計は減少傾向にある。2017年度の売上高合計は17兆3,735億円で、2013年度の21兆882億円から17.6%も減っている。また前年度比の減少幅は年々拡大しており、2014年度は3.0%、2015年度は4.2%、2016年度は5.4%、2017年度は6.3%だ。

 2017年度に増収となった企業は全体の8.6%にあたる182社のみで、9割を超える企業が減収もしくは横ばいとなった。そんな企業の苦境を示すかのように、倒産する企業も前年より増加する可能性が高いという調査結果が出ている。

 2017年度の倒産件数は年間で21件だったが、2018年は10月末の時点ですでに20件に達した。このままだと倒産件数は前年を上回ることになりそうだ。

 2005年度からの推移をみると、最も倒産件数が多かったのは2007年度と2008年度の72件で、それより後では、2009年度の30件を除けばいずれも10から20件台となっている。ただその範囲内で多少なりとも増加または減少に転じており、2016年度に13件となってからは増加傾向にある。

 パチンコホール事業をおこなっているのは比較的小規模の企業が多く、年商規模で10億円以上50億円未満が42.2%、次いで1億円以上10億円未満が28.3%とこれらの規模の企業が全体の約7割を占める。500億円以上1,000億円未満の企業は1.6%、1,000億円以上の企業は1.1%に過ぎない。

 規制強化の手が緩まなければ、特に採算のとれない店舗を抱えた小規模企業の経営環境は厳しくなると考えられる。

 ギャンブル依存症はパチンコ含むギャンブルにのめり込み過ぎてその衝動が制御できなくなる状態だ。うつ病の発症や多重債務、貧困、家庭内不和、虐待、果ては自殺など、多くの問題に発展する場合がある。

 ただその問題への対策が講じられる一方で、パチンコを経営する企業にとっては引き続き倒産も起こり得る苦しい状況が続きそうだ。

パチンコ企業の売上高合計が減少、倒産件数は増加 規制強化で苦境に