レーシングマシンから市販車まで、貴重な歴史的車輌が多数顔を揃えたヤマハ歴史車輌デモ走行見学会2018。普段は同社のコミュニケーションプラザに展示されている車輌が、実際にテストコースを走行するとあって、多くのファンが詰めかけた。今回は市販モデルを実走シーンの動画と合わせて紹介しよう。ヤマハの歴史を作ってきたマシンの排気音を聴く、またとない機会だ。

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「RZ」や「TZR」も走る!【2ストロークマシン編】
ヤマハといえば2ストロークというイメージを持っている人も少なくないだろうが、実際に同社は1970年までは2ストの専業メーカーだった。4ストエンジンを手がけるようになってからも『RZ250』や『TZR250』など、幾多の伝説的なマシンを世に送り出している。かつて、その排気音に心躍らせた人も多いはず。

ヤマハ初の2輪車が「赤とんぼ」の愛称で呼ばれた1955年式の『YA-1』。富士登山レースや浅間火山レースでの活躍で名を馳せた。

エンジンは空冷2ストローク単気筒の123cc。タマゴ型のクランクケースもキュート。

そんなマシンも元気な音を響かせて快走。ハンドルを握るのは、なんと同社の日高祥博社長だ。

https://youtu.be/RjfMLJxH9Eg

高性能な247ccの空冷2気筒エンジンを搭載した1959年式の『YDS-1』。レース用キットパーツも用意され、様々なカテゴリーのレースで活躍した。

エアクリーナーにまでカラーリングが施されている点がヤマハらしい。デモ走行でも軽快な排気音を響かせていた。

https://youtu.be/sxyVyF6kmhY

ヤマハオフロードバイクの初代モデル『DT-1』(1968年式)。オンロードとオフロードが未分化の時代にオフ車というジャンルを築いた。

エンジンは246ccの空冷単気筒。アップタイプのマフラーデザインがオフ車らしい。

https://youtu.be/zOiYYjX3HiI

1969年式の『DS-6』。5ポートシリンダーを採用した空冷2気筒247ccエンジンを搭載し、軽快な走りを披露した。

https://youtu.be/cPAJZY9s9-s

小ぶりな車体に90ccの単気筒エンジンを搭載した1970年式『HT-1』。入門用として国内でのオフロード文化の裾野を広げた。

https://youtu.be/wASFUEIftgw

7ポートのエンジンにリードバルブを組み合わせた「トルクインダクションシステム」を採用し、大きなヒットとなった1973年式の『RD250』。

https://youtu.be/4w7xd_3vbJY

水冷化された2気筒エンジンを搭載し、レーシングマシン同様のモノクロスサスペンションを採用するなど、一大ブームを巻き起こした1980年式の『RZ250』。

現代の目で見ても流麗なスタイルは今でもファンが多い。葉巻型のチャンバーから吐き出される排気音にも心が熱くさせられる。

https://youtu.be/zqF-SEb1Klg

『RZ250』の後継モデルとして登場した1983年の『RZ250R』。可変排気バルブ「YPVS」を市販モデルで初めて搭載し、43PSを発揮した。

この年式はビキニカウルを装備しているが、その後フルカウル仕様なども発売され、多くのバリエーションモデルが存在する。

https://youtu.be/Zd-7YqBYUwc

レーサーのようなフルカウルとアルミフレームを採用し、レーサーレプリカブームを牽引した『TZR250』。写真は1989年式モデル。

毎年のようにモデルチェンジが繰り返されたが、この年式は”後方排気”と呼ばれるエンジン型式を採用し、排気音の良さは今でも定評がある。

https://youtu.be/nzA6HnbgwgQ

レーサーレプリカの中でも究極と言えるのが1984年発売の『RZV500R』。500ccのV型4気筒エンジンを搭載し、GP500を走る『YZR500』のレプリカとして登場した。

シートカウルからものぞく4本出しのチャンバーが4気筒の証。デモ走行ではケニー・ロバーツのライディングで快音を響かせた。

https://youtu.be/4dMGgQHs68Y

「SR」や「R-1」も登場【4ストロークマシン編】
2ストのイメージが強いヤマハだが、4ストロークのマシンも歴史に残る名車が何台もある。今でも続く「SR」シリーズのルーツとなった『SR500』など、多くの名車が元気に走る姿を見せてくれたので、こちらもご紹介しよう。

ヤマハ初の4ストモデルが1970年製の『XS-1』。空冷の並列2気筒エンジンで、今でもファンの多いマシンだ。

エンジンの造形の美しさも、このマシンの魅力の1つ。弾けるような排気音を響かせ、デモ走行を行った。

https://youtu.be/j9P5lpuNDWU

こちらは1972年式のヤマハ初の750ccモデル『TX750』。2軸バランサーを搭載したスリムなエンジンで、4気筒のライバルたちに対抗した。

https://youtu.be/OC4n_gmtKZU

現代も続く「SR」シリーズの初代モデルが1978年発売の『SR500』だ。ディスクブレーキで登場したが、後にドラムブレーキに変更される。

https://youtu.be/akfS1dcA5UI

こちらが『SR500』のベースとなった『XT500』。オフロードマシンとしても高い走破性を誇ったビッグシングルだ。

オフロードモデルとして忘れてはならないのが「セロー」シリーズ。現行モデルは250ccだが、こちらの初期型は223ccで『XT225』の名で1985年にデビューした。

https://youtu.be/msgrRagSVwU

マッチョなボディデザインで、大きなインパクトを残したのが1990年発売の『V-MAX』。1200ccのV型4気筒で圧巻の加速力を誇った。

https://youtu.be/41VCZPRWbJE

1998年に発売され、今年20周年を迎えた『YZF R-1』。1L4気筒エンジンのパワーだけでなく、軽快なコーナーリング性能を誇り、現代に続くSS(スーパースポーツ)の源流となったマシンだ。

関連サイト
コミュニケーションプラザ(ヤマハ発動機株式会社)

text増谷茂樹
(d.365

掲載:M-ON! Press