プロ13年目にして初めてのベストナインに選ばれた「熱男」こと、福岡ソフトバンクホークス松田宣浩選手。

「もどかしくも、良い経験をした」と語った前回のインタビューに続き、ベストナイン受賞同様にプロ野球人生で初めての経験や思いを聞いた。

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「熱男」は短期決戦に強いはずだった


 「レギュラーシーズンは目標とする数字がそれなりに残せて、試合にも全試合出場させてもらえたんですが…。でも、クライマックスシリーズ (CS)、日本シリーズで活躍できなくて試合にも出られなかったことは本当に悔しかったですね。」

侍ジャパンにも呼ばれる実力と人気で、WBCでは勝利を決定付けるホームランを放つなど、「お祭り男」ぶりを発揮してきた「熱男」が、浮かない顔をした。

「僕ってスタートダッシュ派なんですよね。最初に貯めたものをドンドン減らしていくタイプというか(笑)。いつも4月、5月は打率もホームランも上位にいるのに、そこからいつものそれなりの位置に落ちていく(笑)。僕は今まで周りの人から短期決戦とか日本代表戦に強い選手って思われていたんですよ。それは1、2試合目でバカスカ打って印象を良くしているからだと思いますけどね(笑)。なのに、今年はそれができなかったCSと日本シリーズだったんです。期待して使ってもらうことも、応えることも。」

2018年はパ・リーグ1位のライオンズをCSファイナルで破り、日本シリーズを2年連続の日本一で飾った常勝軍団・ソフトバンクだが、歓喜の輪の中心に「熱男」はいなかった。松田選手はレギュラーシーズンを32本塁打82打点でチームに貢献していたが、CS、日本シリーズで不調に陥って、大舞台での出場機会を逃していた。

 「優勝した時、初めてベンチから胴上げに参加しました。悔しかったですね。去年もその前の時も、今まではサードから行って、その中心に自分がいたのに。ベンチから胴上げの輪に駆け寄る時、そこまでの距離を遠く感じましたね。行かんでおこうかな、とか思いましたよ(笑)」

と、おどけて話すムードメーカーだが、内に秘めた熱い覚悟がある。

「普段あまり言わない言葉だけど、今年は自分自身にすごくムカつきましたね。自分がもっと結果を出していれば良かったのにって思います。日本シリーズで日本一になっても全く映像に自分が出てこないんですよ(笑)。でも、野球人生もそうですが、人生としてすごくいい経験をさせてもらったと思います。来年は見返してやりたいですね。このままズルズルといってしまうんじゃないかという不安は全くないですね。覚えておけよとか、ムカつくとか、そういう言葉を今まであまり使ったことがなかったですけど、今はそういう思いになってきています。でも、今回の悔しさは大きな財産だと思っていて、自分的にはワクワクしているし、期待しています。来年は36歳のシーズンで、一般的には『松田は年齢的にも体力的にも落ちてきた』って想う人もいるでしょうけど、爆発して見返したろと思っています。」

と、平成で最初で最後の「熱男」は闘志を燃やした。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

ソフトバンク・松田宣浩、初めてベンチから胴上げに駆けつけた景色