きょう11月29日は「いい肉の日」。健康に気を使う人の中には「肉より野菜の方が体に良さそう」「肉は脂肪が多い」「肉を食べるとカロリーを取りすぎてしまう気がする」など、「肉=不健康」というネガティブなイメージを持っている人も多いかもしれませんが、肉は私たちの生活に不可欠の食材と専門家は指摘します。今回は、牛肉・豚肉・鶏肉の栄養面での特徴と効果的な食べ方についてご紹介します。

すべての世代に欠かせない食材

 エバラ食品工業(横浜市西区)でメニュー開発などを手がける菊岡裕子さん(管理栄養士)によると、肉は「すべての世代に欠かせない食材」といいます。

「私たちの体の約20%はタンパク質からできています。筋肉や臓器、肌や髪など、古い細胞が日々新しい細胞に入れ替わっているため、日頃からタンパク質をしっかり摂取し、補う必要があります。

肉は、人間の体内で生成できない9つの『必須アミノ酸』をバランスよく含んだ良質なタンパク質で構成されています。さらに、亜鉛や鉄分、ビタミンB群も摂取できるため、健康に役立つ万能食材と言えるのです」(菊岡さん)

 それでは、牛肉・豚肉・鶏肉の栄養面での特徴とは、どのようなものでしょうか。

【牛肉】→鉄分

 牛肉には、豚肉・鶏肉の3倍もの鉄分が含まれています。赤血球に含まれ、酸素と結合して肺から全身へ酸素を運ぶ役割を果たすヘモグロビンは、「ヘム鉄」と、タンパク質「グロビン」から構成されています。

 ヘム鉄は、肉や魚などの動物性食品に多く含まれる一方、これに該当しない「非ヘム鉄」は、野菜や穀類、海藻などの植物性食品に多く含まれます。牛肉の赤身部分に多く含まれるヘム鉄は、非ヘム鉄の5~10倍も効率よく体内に吸収されます。鉄分を重点的に摂取したいときは、牛肉の中でも特にヒレ・レバーももなどの内臓部を選ぶとよいです。

 鉄分の吸収率をアップさせるには、ビタミンCとの組み合わせが効果的。ビタミンCは熱に弱いため、さっと加熱する炒め物や、汁ごと摂取できる煮物や汁物がよいです。炒め物の場合、油と合わせることでビタミンCの吸収率が上がる緑黄色野菜を使ったメニュー(チンジャオロースなど)、煮物の場合は、加熱に強いビタミンCが含まれるジャガイモを使ったメニュー(肉じゃがシチューなど)がお勧めです。

 また、生のフルーツと一緒に食べるのも効果的なので、キウイイチゴデザートにするとよいです。

【豚肉】→ビタミンB1

 ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変える際に必要な栄養素です。豚肉のビタミンB1含有量は牛肉・鶏肉の約10倍で、特にヒレ・ロース・もも肉に多く含まれます。

 ビタミンB1の吸収を助ける「アリシン」が含まれる、ニンニク・ネギ・ニラなどと合わせることで、疲労回復効果が期待できます。ビタミンB1も加熱に弱いため、さっと加熱する炒め物(ショウガ焼き・野菜の肉巻きなど)、汁ごと摂取できる煮物や汁物(豚汁・鍋など)がお勧めです。

【鶏肉】→ビタミンA

 鶏肉はビタミンAが豊富に含まれており、その含有量は牛肉・豚肉の約3~4倍。ビタミンAは皮膚や粘膜を健康に保つ働きがあり、免疫力アップが期待できます。部位を選ぶ際は、ビタミンAが特に多く含まれるレバー・心臓(ハツ)・もも肉がお勧め。鶏皮にはビタミンAが豊富に含まれるため、もも肉は皮つきのものがよいでしょう。

 ビタミンAは脂溶性で油との相性がよいため、油で炒めてから煮込んだり、ソテーなどの焼き物にしたりすると、より効果的に栄養を摂取できます。βカロテンの多いニンジンやホウレン草をシチューの具材にしたり、チキンソテーの添え物にしたりするのもお勧めです。

魚料理の多くは、塩焼きや煮魚など魚を単体で調理するため、副菜を用意して栄養バランスを取る必要があります。一方、肉料理は、肉野菜炒めや肉じゃが、カレーなど野菜と一緒に調理するメニューが多く、副菜を作らなくても栄養バランスが取りやすいです。何品ものおかずを作るのが面倒というときも、肉料理は強い味方になります」

オトナンサー編集部

牛肉・豚肉・鶏肉それぞれの特徴は?