ニコニコ動画の中でも1、2を争う人気ジャンルである「歌ってみた」。ボカロ曲からアニソン、洋楽に至るまで数々の動画が投稿され、プロデビューを果たす歌い手も続々登場しています。

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本連載ではそんな「歌ってみた」がどのようにして発展してきたのか、動画と共に振り返っていこうと思います。

前回(http://ure.pia.co.jp/articles/-/5684)は低迷期を迎えた「歌ってみた」が初音ミクの登場で再び勢いを取り戻したところまでを見ていきました。

2008年3月5日、「歌ってみた」にとって次なるターニングポイントとなる出来事が起こりました。

CD『ランティス組曲』が発売されたのです。

これは、ニコニコ動画と音楽レーベルであるランティスがコラボレーションした企画CDで、ランティスから発売されている楽曲34作品をメドレー形式でつなぎ、当時「歌ってみた」で人気のあった11人の歌い手がそれを歌うというものでした。

参加ユーザーは「J」「ゴム」「nayuta」「Re:」「のど飴」「A姉」「yonji」「社長」「サリヤ人」「ゼブラ」「ガゼル」といった面々。当時の「歌ってみた」のスターが集合し、メジャーレーベルからCDを出すというニュースは「歌ってみた」ファンの間で大きな話題を呼びました。

ランティス組曲」のレコーディング風景!

こちらが発売前に投稿されたレコーディング風景。プロデューサーを務めた齋藤氏によると、全員のスケジュール調整が大変だったとのことですが、それでも個別ではなく全員でレコーディングを行ったのは、「オフ会のように楽しく歌ってほしい」というコンセプトがあったからなのだとか。

そして発売された『ランティス組曲』は、オリコンデイリーチャートで9位、週間チャートでも17位にランクインするという快挙を成し遂げます。


なお『ランティス組曲』を使った動画もニコニコ動画には多数投稿されています。たとえばこれはランティス組曲に動画をつけたもの。

本家にはないフリーダムさに注目!

こちらはランティス組曲に参加していない「歌ってみた」ユーザーが集まり(yonji氏だけは両方に参加)、「自分たちならランティス組曲をこう歌う!」ということで制作された動画。本家にはないフリーダムさは、これぞニコニコ動画


こちらは『ランティス組曲』そのものを編集して再構成し、まったく別の流れに仕上げた作品で、通称『裏ランティス組曲』。流れを組み替えたとは思えない編集技術で、特に怒濤のようにたたみかけてくるラストは必聴です。

ボーカロイドという新たなパートナーを経て飛躍する「歌ってみた」は、一方で『ランティス組曲』を生み出し、そこにビジネスチャンスがあることを証明しました。

そしてこれ以降、「歌ってみた」はニコニコ動画自体の発展と共にさらなる飛躍を遂げることになります。

次回はニコニコ生放送と「歌ってみた」による新たな展開、「ニコ生☆生うたオーディション」と、その他のオーディション企画をご紹介します。

投票受付中!(~2012.6.8)

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