ニコニコ動画の中でも1、2を争う人気ジャンルである「歌ってみた」。ボカロ曲からアニソン、洋楽に至るまで数々の動画が投稿され、プロデビューを果たす歌い手も続々登場しています。
本連載ではそんな「歌ってみた」がどのようにして発展してきたのか、動画と共に振り返っていこうと思います。
前回は「歌ってみた」が「組曲『ニコニコ動画』」ブームを経て黄金期を迎え、さらにその後、コメント自作自演騒動により一気に人気が急落したところまでを追いかけました。
2007年8月末、下火になった「歌ってみた」をよそに、ニコニコ動画で新たなムーブメントが沸き起こります。
「初音ミク」の登場です。
初音ミクといえばネギ、というイメージを定着させた「Ievan Polkka」や、
長らく再生数総合1位の座をキープし続けた伝説的な動画「みくみくにしてあげる♪」など、様々な人気曲が生み出され、初音ミクは一気にニコニコ動画のスターダムへと駆け上がっていったのでした。
そんな初音ミクの登場の裏で、一度は地に落ちた「歌ってみた」の人気が再び高まりを見せ始めます。
ボーカロイドの世界と融合した「歌ってみた」
大きなターニングポイントとなったのは、2007年12月に投稿された楽曲「メルト」でした。
恋する女の子の心情を初音ミクが歌う「メルト」は、多くのニコニコ動画ユーザーの心をとらえ大ヒット。同時に「メルト」の「歌ってみた」動画が次々に投稿され、再び「歌ってみた」の世界に活気が蘇りました。
ここから「歌ってみた」は急速にボーカロイドの世界と融合し、「ボカロオリジナルを歌ってみた」という新ジャンルが生まれることになります。
現在、「歌ってみた」のほとんどがボカロ曲を歌ったものであることを考えると、初音ミクの登場がいかに「歌ってみた」シーンに大きな影響を与えたのかがわかります。
そして2008年、ボーカロイドという強い追い風を受けて、再び輝きを取り戻し始めた「歌ってみた」に、次の大きな転換期が訪れます。
次回はそのあたりを見ていくことにします。
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