「肝臓に効く食材」といわれるシジミ。その効能は、シジミに豊富に含まれるアミノ酸「オルニチン」によるところが大きく、二日酔いの予防や疲労回復につながるといわれています。オルニチンは、シジミを普通に調理することでも取れますが、調理前に冷凍することで、その量が何倍にも増えるとの情報もあります。真相を料理研究家で管理栄養士の関口絢子さんに聞きました。

エネルギー生成のサポートや疲労回復に効果

Q.そもそもオルニチンとは、どのような成分でしょうか。

関口さん「オルニチンは肝機能を改善し、肝臓を保護するのに役立ちます。オルニチンは私たちの体内にも存在する遊離アミノ酸で、肝細胞内に存在する解毒の代謝回路である『オルニチンサイクル』を活性化させます。オルニチン回路ではアンモニアを分解し、エネルギー生成をスムーズにするためのサポートをしており、疲労回復にも効果があります」

Q.シジミを冷凍することで、オルニチンが増加するというのは本当ですか。

関口さん「青森県産業技術センターの研究で、シジミをマイナス4度にして保存すると、オルニチンが冷凍前の8倍に増えたという結果が出ています。研究では、4度からマイナス10度まで2度刻みで計測。マイナス4度をピークに、それより低温になるとオルニチンはそれほど増えず、マイナス4度のときが最も効率よくオルニチンが増えると分かったそうです。

冷凍することでオルニチンは増えますが、解凍すると水が出て栄養素も流れてしまうので、凍結した状態のまま、シジミ汁のような出汁(だし)を楽しむ料理に活用するのがよさそうです」

Q.なぜ、シジミを冷凍するとオルニチンが増えるのですか。

関口さん「詳しいメカニズムは分かっていないそうです。漁獲時期によってシジミに含まれる成分値がばらつくのを安定させるために研究していた結果、温度帯によって変化することが分かったそうです」

Q.オルニチンは1日にどれくらいの分量を取るとよいのでしょうか。

関口さん「1日400~1000ミリグラムが目安です。通常のシジミから摂取するには、1000粒以上のシジミを食べないといけません。マイナス4度に冷凍したシジミでも、120粒以上が必要です。食事から1日の目安となるオルニチン量を取ることは、残念ながら難しそうです」

Q.シジミの食べ方として、どのような食べ方がお勧めですか。

関口さん「シジミは加熱すると水分が煮汁に出やすいので、みそ汁スープなどの汁物、あるいは出汁を活用した麺料理炊き込みご飯がお勧めです。エキスの入った煮汁やスープは残さず頂きましょう」

オトナンサー編集部

シジミを冷凍するとオルニチンが増える?