【ストックホルム時事】京都大の本庶佑特別教授(76)がノーベル医学生理学賞の受賞が決まった直後に明かしたのは、若手研究者の支援を目的とした基金の構想だった。主要国が軒並み大学の研究費を増やす中、横ばいが続く国内の現状に危機感を募らせていたといい、授賞式に向けて日本をたつ際にも「若い人への支援が細っている」と訴えた。

 関西地方のある国立大准教授は「悲惨です。若い人が夢や希望を抱けない。今後15、20年続いたら、残るのは荒涼とした景色しかない」と話す。

 1990年代の政策転換で大学院生は増えたが、多くは博士号を取っても大学で安定した職に就けず、任期付きの助教などを更新して食いつなぐのが実情だ。「学生は、優秀な先輩があんなに苦労するのかとよく見ている。ポストを得られても雑用に振り回され、研究に専念できない。自分がやってやろうとは思わないだろう」と漏らす。

 科学技術白書によると、大学部門の研究開発費は米国が圧倒的で、日本が長年2位を維持していた。しかし、2011年に中国に抜かれ3位に転落すると、16年にドイツの後塵(こうじん)も拝し、4位に落ち込んだ。

 研究成果のバロメーターとなる論文数は、日本は10年前と比べ、主要国で唯一減少。引用件数が各分野で上位10%に入る論文の数は、03~05年は平均4位だったが、13~15年は同9位となった。

 本庶さんは「ずっと(国の)科学研究費に支援されてきた」と振り返った上で、がん免疫療法の開発を「基礎研究が応用につながると実証できた」と強調する。資金の配分について「生命科学は未来への投資だ。今もうかっている所に注ぎ込むのでは後れを取る」と訴える。

 大阪大の仲野徹教授(分子生物学)は「生命科学分野は高度化、高速化、高額化が進んでいる」と指摘。研究費の在り方について、「うまくいかないかもしれない研究に資金を投下できるかどうかだ。研究は継続性が重要で、いったん落ちると追い付くには努力がいる」と話した。