スペインの首都マドリードには、車が歩行者に突っ込むことを防止するガードレールとして、歩道沿いに頑丈な鉄製のポールがたくさん設置されている。
それは何の変哲もない車止めポールなのであるが、ある人物がそれを見て直感的に何かを感じとった。
数学教師のホセアンヘル・ムルシアさんは、車を運転しているときに、その模様が対称なデザインではないことに気がついたという。
絶対何か意味があるはずだ。ムルシアさんが調べたところ、特定のパターンがあることがわかった。だがそれが何を意味するのかはわからない。
そこで彼は、ツイッターで人々に呼びかけた。
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太陽のような放射状のデザイン
車止めポールの天辺には、どこか太陽をかたどったような放射状に広がる線が刻まれている。
不思議なのはその線のまとめ方で、まず12本の線がひとまとまりにされ、少しの隙間を開けて2本がまとめられ、同じ具合に13本、3本、9本と続いている。
後日、ポールの写真を撮影し、線の数を数えてみたムルシアさんは、オンライン整数列大辞典という数学的な列のデータベースサイトで検索してみた。
しかし、何も一致するものがない。
そこで「教えて! セゴビア橋の車止めポールに、1、12、2、13、3、9というパターンがある理由は?」とツイートした。
Ayuda, please, ¿alguna hipotesis de por que los bolardos de la zona del puente de Sego
via tienen este patron: 1, 12, 2, 13, 3, 9?¿Un RT? pic.twitter.com/Jq2bq16KJ1
— Joseangel Murcia (@tocamates) 2018年7月26日
予想外の大反響とさまざまな仮説
このツイートに対し、これまで2000のリツイートと600のリプライという大変な反響があった。
寄せられた仮説は、付近にあるセゴビア橋の円弧に関係するという説、線の隙間に関係があるという説、60秒と関係するという説、灯台の反復パターンに関係するという説など、さまざまだ。
「ランダウ・ラマヌジャンの定理」という有名な定理から導かれた六角形であるという説もあった。
Mi hijo dice que esta claro, que es asi para que no pasen los coches 😜
Pero si quitamos los "diametros" del hexagono a partir del 1... quedan 5,6,1,7,6,3,3,5... https://t.co/yOHAB8KPqaY aparece... Landau-Ramanujan pa flipar ¿o no?
Lastima el 5 final...
— Miguel Angel Miguel (@El_de_gafas) 2018年7月27日
Gracias Joseangel pic.twitter.com/2f5Bx8tZ8X
ミステリーサークルが関係するに違いないという冗談のような見解や、謎解きを諦めてただのデザインと考えることにしたという見解もあった。
さらには3Dプリンターで車止めポールのレプリカを作った人物もいた。
A mi la historia y final del #misteriodelbolardo me ha gustado tanto,que me he hecho una replica mas pequena en 3D "a ojimetro".Mejor que una replica real en el salon 😅😅😅 @tocamates @sanz_serif @ForjasEstilo #3Dprinting #FreeCADhttps://t.co/81PxFgzoUdhttps://t.co/Cd4j899BcG pic.twitter.com/8T1lNalxX0
— Jorge :P (akirasan) (@akirasan) 2018年8月9日
このパターンを基にピアノで作曲してしまった人物まで現れた。
Mira, ni idea. Pero por codigos que no quede: si supones que lo numeros designan semitonos y lo inviertes, queda una melodia chula xD pic.twitter.com/NsnCwFLrVj
— Almudena M. Castro (@puratura) 2018年7月27日
また、あるジャーナリストは、車止めポールを設計した会社が残した暗号ではないかと推測した。
製造企業からの最初の説明はフィボナッチ数との関連
この車止めポールを開発、製造販売している企業「フォルハス・エスティーロ」は、自社サイトで問題のポールは「リオ・バッホ」というモデルで、線のパターンはフィボナッチ数に関係していると思われると説明をした。
フィボナッチ数とは、最初の2項が1で、それ以降の項は直前にあった2項の合計である数列のことだ。
しかし、ポールの線はフィボナッチ数とは完全には一致せず、ムルシアさんをはじめ、この説明に納得しない人たちが大勢いた。
それから1週間後、フォルハス・エスティーロ社は再度説明を投稿。これにより最終的な謎が解明されることとなった。
実際には設計者に関係する諸都市の位置を指し示していた
フォルハス・エスティーロ社の最終的な説明によると、線は設計者に関係する町の位置を表しているのだという。
設計者は建築家ビクトル・ムーニョス・サンスさんで、10年前、マンサーナレス川沿いにマドリード・リオ公園が建設されたときに作られた。
最初に考案したデザインがあまりにもそっけなく、当時の上司からの評判がよくなかったことから、彼はポールの素材である鉄について考察。
「この鉄が生産された場所を示したらどうかと思って、そこから鉄の生産地や工場のある町をデザインに入れようと発想を広げていきました」とサンスさんは話す。
マドリードを中心に置き、そこからそのような町に向かってまっすぐに線を引いた。
1928年にフォードが作ったブラジルの町フォードランディア(Fordlandia)、イタリアのオリベッティ社があるイヴレーア、かつて自身が論文のテーマとしたチェコのズリーンなど、彼は夢中になった。
こうして太陽にも似た素晴らしいデザインが完成する。会社からもすぐに採用され、それ以降10年間それについて深く考える者はいなかったという。
だが残された謎が?
ムルシアさんのツイートには大きな反響があった。これを知ったフォルハス・エスティーロ社の当時の上司からサンスさんに連絡まであったという。
みなさんの想像力には驚かされます。女性が作曲したピアノの曲が特にいいですね。ポールのデザインは、時間がたっても古くならず、町にずっと残りつつも、過度に目立たないようなものをと思って考案しました
とサンスさんはコメントする。
今、このデザインを再発見したムルシアさんは、ポールのデザインをモチーフにしたTシャツを着ている。
しかし、彼によれば、まだ解明されていない謎が残されているという。
サンスさんが答えた町を正確に結ぶように設置されたポールは、今のところ1つしか発見されていないのだ。
当時の作業者が設計者の思想など意にも介さなかったのか……この謎が解かれることは永遠にないかもしれない。
追記(2018/12/08):本文を訂正して再送します。
References:There's a Secret Code Hiding on These Madrid Security Bollards - Atlas Obscura
全文をカラパイアで読む:http://karapaia.com/archives/52268549.html
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— カラパイア (@karapaia) 2017年12月9日
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