breakfast-690128_640_e

 「食べたい。でも痩せたい」体重増加が気になる人にとっては永遠の願いである。だが、ついに食べても太らなくなる方法が発見されたかもしれない。

 その鍵を握るのは「RCAN1」という遺伝子だ。

 これを取り除いたマウスの実験では、脂肪の多い餌をかなりの期間与え続けたというのに、まったく太らないという結果が得られた。

 研究者によると、人間でも応用できる可能性があり、肥満に効果のある夢の薬を開発できるかもしれないそうだ。

―あわせて読みたい―

炭水化物で太りやすい体質かどうかわかる簡単なテスト。まずはクラッカーを用意しよう!
痩せないのはこいつのせいだった?、カロリーを燃焼させるか蓄積するかを切り替える「メタボスイッチ」が発見される(米研究)
クルミに食欲抑制効果があることが判明(米研究)
週末の甘い罠。ダイエット中の人が週末にリバウンドしてしまう現象を防ぐ10のアドバイス
ダイエットの秘訣は食べる量だけではない。その秘訣は食べる時間にあり(イスラエル研究)

脂肪の蓄積を促進するRCAN1遺伝子

 学術誌『EMBO Reports』に掲載されたオーストラリアフリンダース大学とアメリカ・テキサス大学サウスウェスタン医療センターの研究チームの論文によると、「RCAN1のないマウスは、代謝率が向上し、食事に起因する肥満に耐性を備えている」という。

 RCAN1は特定の代謝プロセスに対してフィードバック阻害因子(代謝反応を促す酵素の働きを抑える因子)として働く。

 したがってRCAN1がなくなると、「非震え熱産生」という現象が起こる
 ――つまり取得したカロリーを脂肪として蓄えるのではなく、熱にするようになるのだ。

 別の説明をすると、RCAN1が機能しないようにすることで、白色脂肪(エネルギーの保存が目的)から褐色細胞(カロリーを燃焼し、熱を発生させる)への転換を促すことができるということだ。

dna-2649850_640_e

pixabay

食料が乏しい時代に有効だったRCAN1遺伝子


 カロリーの燃焼を抑え、脂肪を蓄積させるRCAN1の機能が大切だった時代がかつてはあった。

 食料が乏しく、カロリーを簡単には得られなかった時代のことだ。そうした時代では、貴重なカロリーを体に蓄えておけることが死活問題であった。

 しかし現代は飽食の時代であり、脂肪を蓄えすぎてしまうことでかえって健康に悪影響が出てしまっている。

RCAN1遺伝子を取り除くことで何を食べても太らなくなる

 今回の研究では、RCAN1遺伝子を取り除いたマウスに対して、8週から6ヶ月までの期間、さまざまな餌を与えて、その体重の変化を観察した。

 その結果、どの事例でも健康状態の向上が確認されたという。

 研究チームは、この成果を基にして、食事制限や運度をしなくてもダイエットできる薬の開発を究極の目標にしている。

References:A New Drug Could Let Us Eat Anything Without Gaining Weight - VICE/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52268542.html
 

こちらもオススメ!

―料理・健康・暮らしについての記事―

食品CMの舞台裏。あのおいしそうな料理や飲み物の映像は、食品以外の物を使って撮影されていた件
人の支えになりたいとき、良い言葉をかけようと思わなくてもいい。ただ共感するだけでいい(米研究)
世界初。中古品やリサイクル品だけしかないショッピングモールが誕生(スウェーデン)
あの人って実はサイコパス?科学が教えてくれるサイコパスを見分ける方法とその付き合い方
人は年を取ると自分がついた嘘を本当のことと思い込むようになる(米研究)

―知るの紹介記事―

太陽系内の惑星が一直線に並ぶ「惑星直列」のピークは2018年12月21日。アラスカで発生した地震とも関連性があるのか?
車止めポールに隠された謎のメッセージに気が付いた数学教師。ツイッターで呼びかけその正体が明らかに(スペイン)
アプリで楽しむオンライン回顧展。あの名画もじっくり鑑賞できるグーグルの「ミート・フェルメール」
我々はいかにして記憶し、いかにして忘却するのか?(米研究)
人類史にみるバタフライ効果。歴史を大きく変えた16の小さなこと
魔法の薬が誕生なるか?ある遺伝子を取り除くことで何を食べても太らないことがマウス実験で実証される(共同研究)