「旅先で旨いものを食べたければ、タクシードライバーに聞くのが一番」と言います。そこでB級グルメに精通する現役運転手・荒川治さんにイチオシのお店に案内をお願いしました。
ラーメンといえば、個人的には何といっても“肉”が魅力です。
鶏・豚・牛などの骨髄から滲み出たスープのエキス。そしてとろけるチャーシュー、背脂…思い出すだけで喉が鳴ります。もちろん煮干しやカツオ節などの魚介系を加えたダブルスープなども美味しいですが、やっぱりパンチを感じるのは肉々しい土台があってこそ。
しかし、最近、我ながらびっくりするほど、魚のパンチが効いたラーメンにハマってしまったんです。それが、なんと新鮮なイワシのお刺身が載った「いわしそば」。
それが味わえるのは、板橋区西台に2018年11月21日(水)にオープンしたばかりの『寿製麺よしかわ』です。まだ開店から1カ月も経っていないのに、筆者はすでに数回訪店しており、さらに今後も全メニュー制覇を企んでおります。というわけで、さっそくご案内しましょう。
港の市場で食べるようなラーメン
『寿製麺よしかわ』の看板商品は実は「いわしそば」ではなく、「煮干しそば」。これには白醤油と黒醤油の2種類があって、お店の方にお勧めを聞くと、「最初は白醤油から食べると、うちのベースのスープの味がクリアにわかると思います」とのこと。
そこで初日は「特製煮干しそば白醤油」をいただくことにしたんです。ただ、ものすごく気になったのは、入店前に並んでいた時に見た外壁に貼ってあったメニューです。それが下の写真。
これは「いわしそば・丼」とかかれたサイドメニューです。ここにあった「いわしそば」は、おそらく一般的なラーメン屋さんの「和え玉」的な存在だと予想し、こちらも注文をすることにしました。
最初に登場した「特製煮干しそば白醤油」は、美しく澄んだ黄金色のスープ。数種類の煮干しと、羅臼・利尻・日高などの昆布でとったスープに、白醤油をベースにしたカエシを加えているので、淡くさっぱりしています。
ですが、口のなかで広がる煮干しの香り、旨みがじつに濃くて奥深い。食べているうちに、まるで港の市場で食べているかのような“魚々しさ”を感じるんです。
特製のトッピングは、低温調理の柔らかな豚と鶏のチャーシュー、メンマ、ネギ、三つ葉、煮卵。その一つひとつに丁寧な仕事が施されているのがわかります。たとえばメンマ。よく見ると、筋切りされていて食べやすく、また煮卵の黄身にも出汁の味が染みていて、絶妙な加減で茹でてあります。
そして、期待の「いわしそば」。香ばしい醤油とスープで作ったタレ。にんにくとスライス玉ねぎ、そして鮮度抜群のイワシ。テーブルの白コショウを軽く振って混ぜて食べたら、これが腕のいい和食職人が作ったのかと思うような逸品なんです。自家製麺のパツパツな麺の食感も心地よくて、麺の旨味にもやられます。
というわけで、初日に魚々しさにノックアウトされて帰宅。もうじっとしていられず、一週間もしないうちに再訪を決めたのです。
「ぶりつけそば」も秀逸でした!
というわけで、訪店2回目。食べるものは決まっていました。「ぶりつけそば」と「ぶり丼」です。魚使いが上手い店ですから“ブリづくし”で行く方針です。
ちなみに『よしかわ』は、埼玉県上尾本店、川越、坂戸にも店があります。それぞれの店で魚介を使った個性的なメニューを出しているそうですが、この「ぶりつけそば」や「ぶり丼」は東京初進出の西台店限定のメニューだそうです。
麺は、北海道産小麦「はるゆたか」を100%使った自家製麺です。弾力があって、旨みも濃い。また、つけ汁は、煮干しとブリの様々な部位を入れて、濃厚なエキスや脂を取り出し鶏白湯を合わせているそうです。まさに魚の濃厚なスープといった感じです。
「ぶり丼」は、まずは、すだちを絞って塩で味わい、次に醤油をちょっとだけ垂らしていただきます。こちらも超新鮮で分厚いブリが使われています。そして、最後はラーメン屋さんならではの食べ方…つけ汁に割スープをもらい、それをぶり丼にかけていただきます。まさに漁師飯を彷彿させる味わい。
こうして二日間に渡って4品を制覇しました。でも、食い意地の張った筆者のこと、これでは終わらず、実はつい先日3回目の訪店を果たし、「特製煮干しそば黒醤油」もいただいてきました。
黒醤油には、宮内庁御用達の「関ヶ原たまり醤油」を使用しているそうです。白醤油に比べて真っ黒なスープですが、濃いだけでなく、醤油の旨み、甘味が際立つスープです。
というわけで、全メニューをほぼ制覇しました。が、やはりこういう新店は、これからも季節ごとの煮干しの違いなどにより、少しずつブレや進化があって、それが楽しいもの。だから今後も通い続ける予定です。
まずは、魚の旨味の濃い「煮干そば」&「いわしそば」から体験してみてください。
(取材・文◎土原亜子)
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