人生100年時代、30代の若きうちから老後のことを念頭に置いておく必要があります。

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とはいえ、老後の資産形成といっても現実味がないのが本音。なぜなら子どもの教育費など目先のことで精いっぱい!

しかし、老後貧乏にならないためにも、「早くから備えておく」という世間の風潮になってきています。

そこで30代の主婦が、夫婦の老後資金に対する捉え方と準備方法をファイナンシャルプランナー飯村久美さんに伺いました。

ぜひチェックしてみてくださいね。

老後資金を貯めるためのお得な手法とは?

お金を貯めるというと、銀行の定期預金のイメージがありますが、老後資金については、老後資金に特化した貯め方が注目されています。飯村さんは次のようにアドバイスします。

飯村久美さん(以下、飯村)「老後資金を貯めるための一番のおすすめは、iDeCo(イデコ)です。

iDeCoとは「個人型確定拠出年金」のことで、私的年金の一つです。私的年金とは、国民年金厚生年金などの公的年金とは異なり、自分で準備する年金のこと。

iDeCoは、積み立てた金額が全額所得控除になるので、節税効果が得られてお得。働いていない方は、旦那さんが加入するとよいでしょう。

(勤務先が企業型確定拠出年金に加入している場合には、規約で認められている場合に限ります)」

このiDeCo、メリットは節税になるだけではないのだそう。その他の特徴を教えていただきました。

飯村「iDeCoは毎月5,000円から設定でき、自分で掛け金を決めます。職業によって毎月1万2千円、2万3千円など限度があります。

銀行口座から決められた日に引き落とされ、掛け金の運用は自分で行います。

『定期預金』など元本が保証されているものを選ぶこともできますし、日本の株式や外国の債券などに投資する『投資信託』を組み合わせて、運用することも可能です。

運用益は非課税になります。

またiDeCoの掛け金や運用益は60歳になってはじめて引き出せるのも大きな特徴です。途中で引き出せないことから、老後資金としてうってつけの方法といえます」

資産運用や掛け金の設定は難しそうなイメージもありますが、スマートフォンのアプリで運用プランの選択やシミュレーションができるようなサービスも出ています。

今後、資産運用が身近になっていきそうです。

貯蓄に成功する人がしていることは?

成功率が高い老後貯蓄の方法は?

飯村さんによると、実際、30~40代の夫婦が、老後資金を貯めるのに成功している方法があるのだそうです。どんな方法なのでしょうか?

飯村「それはずばり『先取り貯蓄』です。毎月の収入から、あらかじめ老後資金としての金額を確保しておくということです。

30~40代の夫婦は、子育てもあり、教育費や生活費がかかります。そうした目先の費用のうち、余ったお金を毎月、老後資金に回そうとしても、余る月もあれば、余らない月もあり、安定的に貯めていくことはむずかしいものです。

先に5千円、1万円、2~3万円でも老後資金として確保しておけば、必ず貯められます」

飯村さんによると、先取り貯蓄はiDeCoのほか、つみたてNISAもおすすめだそうです。

飯村「『つみたてNISA』は投資信託を積み立てて購入していく投資スタイルで、これも国が推奨しているものです。

通常、預金や投資で得た利益には20.315%の税金がかかりますが、つみたてNISAで得た利益は非課税になります。

また、つみたてNISAは、途中で引き出すことができるため、老後資金以外にも活用できます。

ただし、運用なので、うまくいかないと損をしてしまう可能性があります。投資する先を分散させたり、長期間で運用したりしてリスクを減らしましょう」

国がやっていることに乗っかるのがコツ!

飯村さんに、老後資金を貯めるコツを教えていただきました。

飯村「iDeCo(イデコ)やつみたてNISAといった国が税金を優遇してくれる制度を活用するのがコツです。

定期預金は金利がほとんどつかないため、老後資金のような長期で貯めていく場合はもったいないところがあります。iDeCoには節税のメリットもあります。

公式サイトのほか、分かりやすく解説しているWebサイトもいくつかありますので、ぜひ参考にしてみてください」

老後資金を考えていくことは、超高齢社会になっている日本にとって今後、当たり前の時代になっていくかもしれません。

まずは「先取り貯蓄」をはじめましょう。

商品にはどんなものがあるのか、また我が家にとって最適なものはどれかを夫婦で検討してみるのがよさそうです。

【取材協力】飯村久美さんプロフィール
日本FP協会認定ファイナンシャルプランナー。FP事務所アイプランニング代表。
金融機関在職中にファイナンシャルプランナーの資格を取得後、FPとして独立。2006年、FP事務所アイプランニング開業。これまでの家計診断は1000世帯。ファミリー世帯や女性の幸せなマネーライフをサポートしている。テレビをはじめとするメディア出演歴多数。

著書に「子どもを持ったら知っておきたいお金の話」(中経出版)「ズボラでもお金がみるみる貯まる37の方法」(アスコム)などがある。