第10週「私は武士の娘の娘!」 第60回 12月8日(土)放送より
脚本:福田 靖 
演出:保坂慶太
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平
     桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功、瀬戸康史ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎

60話のあらすじ
福子(安藤サクラ)は捕まったみんなに手紙を書いて励ます。
三田村(橋爪功)まで事情聴取された。
誰に聞いても萬平(長谷川博己)の悪い話は出なかったが、
確たる無実の証拠がなければ軍事裁判にかけるという陸軍曹長ハリー・ビンガム(MONKEY MAJIKのメイナード・ブラント)。
萬平は自分以外の者を釈放してほしいと頼む。
そしてまた、海に手榴弾を投げる検証が行われた。
今度は魚のいる時間だったため、魚がたくさん浮いてきた。
こうして全員、釈放となり、笑顔で福子の元に帰って来る。

今日の名台詞
「傘屋はいいぞ。雨が降ったら傘が売れて嬉しい。晴れれば青空が見れて嬉しい」

萬平が子供の頃、近所にいた傘屋さんの台詞だそうだ。
萬平はこの人のように、自分の仕事を愛せるようになりたいと思ったと言う。
好きな仕事をして、仲間を幸せにして、それは人様の役に立つことならこんなに幸せなことはないと。

手軽に栄養を供給する優れたダネイホン師匠の真骨頂である素朴な台詞。
私は、こういう台詞が堂々と国民的な高視聴率番組で使用される世の中になったことを嬉しく思う。
へんにひねった台詞、難しい言葉を用いた台詞など必要ないのである。思ったことを思ったとおりに誰にでもわかる素朴な言葉で言えばいい。
真の公平とはこういうことではないだろうか。なんつて。

福子の手紙もじつに素直なものであった。ただひたすらに、みんなを信じて待つ。シンプルな気持ちが綴られていた。

囚われた男たちは「母ちゃんに会いたか」と故郷を思い、「夕焼け小焼け」を歌い出す。
センチメンタルな雰囲気が漂い、チャーリータナカ岡崎体育)まで歌い出す。

脱走展開、見たかった
萬平の堂々とした、純粋そのもののような態度に心打たれたのか、もう一度、時間帯を変えて手榴弾の検証を行う進駐軍。
魚が浅瀬に集まってくる時間に試したら、みごとに魚(鯛)がぷっかぷか。
こうして皆、釈放された。ほら、なんて素敵に素朴な展開。
チャーリーも、別れ際、ダネイホンはいうほどまずくなかったと態度を軟化させる。
チャーリーの日系人としての葛藤、ハリーの病気らしい家族の想い、などなんとなく匂わせただけで終了した。

「誰一人悪く言う人がいない」という証言は牧と加地谷と三田村の三人だけとずいぶん少なく、これでいいのかと思うし、そもそも、魚のいる時間帯に関しても、調査が大雑把過ぎる。でも現実世界で捜査というものがいかに適当に行われているかという皮肉を込めているのかもしれない。
こういう展開は、連ドラの最終回のほうで、主人公がピンチになって、これまで出て来た人たちがこれまでの話をして助けてくれるテンプレのようなもの。
こういうシーンを出すと、なんとなくいい気持ちになるし、前半、福子の手紙で、15人の若者の名前がひとりひとり呼ばれ顔のアップが映るのも、この中の一部しか活躍していなかったにもかかわらず、全員に愛着が湧いていたような気分になってなんだかじんわりする。
みんなが帰ってきたところも、事前に知らせを受けて、ご飯を作って待っていたのかよくわからないが、ほっとしたみんなの顔はよかったし、赤津が真っ先に鈴のところに行くことにほっこりした。

とはいえ、素朴なドラマもいいが、「みんなで脱走しませんか」という神部(瀬戸康史)の台詞のように、痛快な騙し騙され大脱走エピソードも見てみたかったなあ。

第11週もまたまたいろんな愉快なことが起こりそうだ。
(イラストと文/木俣冬)

連続テレビ小説まんぷく
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年下の武ちゃんに慕われる明美さん。
60話

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土曜はおやすみ

イラストと文/木俣冬