Point
・64の関連研究のメタ分析により、学習の理解について「自己説明」をすることが非常に有効な学習法であることが確認された
・自己説明には深い理解が必要であり、説明を試みることで「分かっていない部分」も明らかとなる
・この方法はたいていの学習分野において利用可能であるため、この発見は非常に意義のあるものである

教師は生徒に「教える」ことよりも、学習者自身に対して「説明を促す」ことに焦点を当てたほうがいいかもしれません。合計およそ6,000人が参加した64の先行研究のメタ分析により、他の様々な学習法と比べても、「自らに対して説明を促す」といった方法がより学習効果が高いことが明らかになりました。

たとえ相手が「自分自身」であっても、説明するためには物事の因果関係などの深い理解が必要不可欠となります。そのため、学習者が自らの理解について説明するといった行為は、学習者自身が「分かっていないこと」を明らかにする助けにもなるのです。このプロセスを経ることで、理解のために「欠けた情報」が浮き彫りとなり、次にやるべきことが明確になります。

今回のメタ分析により、過去の研究において効率的な学習者ほど自発的に「自己説明」をしていたことが確認されています。しかし重要なのは、説明の効果が発揮されるためには必ずしも「自発的」である必要はないといったこと。自己説明を「促された場合」であっても、この方法が有益であることが分かっています。

もちろん教師は、何も考えずにいつも生徒に対して「自己説明」を促していればいといったことではありません。個人の理解度や能力によって、どの程度自由に説明をさせるべきかは異なります。無論、理解度や能力の高い生徒ほど、自由な自己説明をさせたほうが高い効果が得られます。

分析を行ったサイモンフレーザー大学のキラン・ビスラ氏率いる研究チームは、この発見の最も大きな意義について、「自己説明」といった方法が大半の学習分野において利用可能なものである点を挙げています。

 

情報にあふれる現代社会において、私たちは物事を「なんとなく」理解しているといった場面が増えてきているようです。そんな自分の理解度を試すためにも、一度その事柄についてしっかりと「自己説明」ができるかどうかを試してみるといいかもしれません。

 

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via: The British Psychological Society / translated & text by なかしー

 

「自己説明」は最強の学習法だった